読者からのお便り 2025年9月号

ニュース オピニオン

創刊100周年の雑誌『文藝春秋』での名物コーナー「三人の卓子」。読者の皆様からの記事への感想を募集・掲載しています。このページの末尾にある入力フォームからも、ご投稿いただけます。

ただの野球選手じゃない!

 昭和49年10月14日。巨人がⅤ10を逸した悔しさ、そして、長嶋茂雄という選手の姿をもう二度と見られないという悲しみで、私は涙にくれた。あれから半世紀以上が過ぎ、長嶋さんが亡くなった。再び私は涙した。

 8月号の特集「長嶋茂雄 33人の証言」のトップを飾った原辰徳さんによる追悼文『凄まじい怒り』。長嶋監督に仕えたコーチ時代を淡々と綴る筆致に、同じ昭和33年生まれの私はかえって、原さんも憧れていたであろう選手時代の長嶋さんの姿を思い浮かべた。

 ここぞという勝負どころで必ずタイムリーを打ってくれた長嶋さん。バッキー・荒川乱闘事件で荒んだ甲子園球場の空気を、鮮やかなホームランで聖域に戻した長嶋さん。併殺打が増えながらも、懸命に一塁を駆け抜ける長嶋さん。選手・長嶋茂雄の姿に何度も胸を打たれた。

 長嶋さんの現役時代を知らない若い世代が、ネット上に「長嶋っていっても、ただの名選手だろ」などと醒めた書き込みをしているのを見るたび、私は「違うんだ!」と心の中で叫んでしまう。「長嶋さんはね、あれだよ。戦後の日本の復興と繁栄、自由で平和な社会の象徴だったんだ。時代のシンボル。ただの野球選手じゃないんだ!」と。

 長い間、日本を照らしてくださって本当にありがとうございました。

(石川県 堀田健二)

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