いま知っておくべき論点を、専門家がコンパクトに解説する「文藝春秋オピニオン 2026年の論点100」。この人気ムックの記事を「文藝春秋PLUS」でも紹介します。

1995年にテレビ放映が始まった『新世紀エヴァンゲリオン』(庵野秀明監督)では、汎用ヒト型決戦兵器エヴァンゲリオンを操縦する14歳の少年と少女たちが戦うのは、宙に浮かぶ正八面体(第五使徒ラミエル)、微生物状のナノマシン(第十一使徒イロウル)、実体と影が逆転した生物(第十二使徒レリエル)など正体不明の侵略者だった。
それから30年経って、ようやく世界は庵野監督の想像力に追いついた。いま日本や世界(とりわけ欧米諸国)を覆うポピュリズムとは、「自分たちの生活がなにかわからないものによって脅かされている」という不安の社会的表現なのだ。
わたしたちは、見えない恐怖に耐えることができない。そのためアメリカでは、脅威の正体はディープステイト(影の政府)で、小児性犯罪者のリベラルなエリートによって世界は支配されているというQアノンの陰謀論が広まった。その後、欧米では不法移民こそが諸悪の根源であるとされ、トランプ政権は強権的な移民の摘発・送還を行ない、イギリスやドイツをはじめ欧州各地で反移民の大規模なデモが行なわれている。
2025年7月の参院選で大きく票を伸ばした参政党は、日本の政治的混乱の象徴としてではなく、こうした世界の潮流のなかで捉える必要がある。そのことは、参政党の神谷宗幣代表が、アメリカの右派インフルエンサーで25年9月に暗殺されたチャーリー・カークと対談したり、ドイツの「極右」政党で、いまや政権与党と拮抗するまで支持率を上げた「ドイツのための選択肢(AfD)」の共同党首ティノ・クルパラと国会内で意見交換を行なったことからもわかるだろう。
こうした状況を、「世界各国の政治における『アウトサイダー』の存在感の圧倒的な高まり」として論じたのが政治学者の水島治郎氏だ(水島治郎編『アウトサイダー・ポリティクス ポピュリズム時代の民主主義』岩波書店)。
ポピュリズムとは、「純粋な人民(ピープル)」を善、「堕落したエリート」を悪とする善悪二元論の世界観で、「政治とは人民の一般意思であるべきだ」とする政治運動と定義される。一方、アウトサイダーは「従来の政治秩序の周縁部に出自を持ち、『外部』の立場から既成政党や既成の政治家を批判し、既存の政治の『変革』を訴える政治主体」とされる。アウトサイダーとは「反主流」のことで、「人民」の名の下に主流(インサイダー)を批判するのだから、両者は重なっている。ポピュリズムは(トランプのような)アウトサイダーによって主導されるのだ。
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