サイエンスライターの佐藤健太郎氏が世の中に存在する様々な「数字」のヒミツを分析します。
今回の数字:地球上の人工物の総重量=1兆1000億トン
地球の46億年にわたる歴史は、いくつかの時代に区分されている。区分は代、紀、世などいくつかの階層に分かれており、現代は新生代の第4紀、完新世という時代に属するのだそうだ。完新世というのは、約1万年前に最後の氷河期が終了してから後の時期を指す。温暖化が進んで氷河が溶け、人類が世界に拡散し、農耕が行われるようになった時代だ。
だが最近、この完新世という時代は終了したのではないかという議論が行われている。人類の活動が環境や生態系に与えている大きな変化により、もはや地球は完新世ではなく、新たな時代に入ったという意見が強くなっているのだ。新区分の名称としては、「人新世」という言葉が提案されている。
最近、これを裏付けるような報告がなされた。これまで人類が作り出した物体の総重量が、地球上の全生物を合わせた重量を超えたらしいというものだ。20世紀初頭には350億トンに過ぎなかった人工物の総重量は、今や1兆1000億トンに達しているというから驚く。この間、生物の総重量の方はほとんど増えていない。数字の上で、人類の積み重ねてきた仕事はついに造物主を追い抜いたのだ。
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source : 文藝春秋 2021年2月号