コロナで国際線が激減…ANAグランドスタッフが民放キャスターになって“得たもの”

ビジネス 働き方
「はい、お伝えします」

 4月5日、普段は羽田空港で働く高畠脩太郎さん(25)の姿は、日本テレビのスタジオにあった。カメラに向かって伝えるのは新型コロナ関連のニュース。初仕事となった約10分間の生放送を終えると、「緊張しました」と言いつつ笑みを浮かべた。

 高畠さんは大学を卒業後、2019年にANAエアポートサービスに入社。グランドスタッフとして主にチェックインや搭乗案内など国際線業務に従事してきた。

 コロナによる旅客減に大きな打撃を受ける航空業界。ANAグループも例外ではなく、昨年10月以降、社員の他企業への一時出向の措置を進めている。都道府県自治体やスーパー、家電量販店など出向先はさまざまだが、いずれも今後の旅客需要の回復を見据えて社員をつなぎ留め、復帰後、その経験をもとの業務に活かしてもらう狙いだ。

 ともに汐留に本社を置く日本テレビとも共同で何かできないかと考え生まれたのが、ANAグループ職員が日テレの報道番組にキャスターとして携わるというこのプロジェクト。約300人の応募者の中から書類選考を通過した16人がカメラテストなどの選考に臨み、このたび5人の“兼業”キャスターが誕生した。

 5人は曜日ごとにCS放送「日テレNEWS24」内の新型コロナ関連情報コーナーを担当する。羽田空港で働きながら週に1度、月曜日にキャスターとしてニュースを伝える高畠さんに話を聞いた。
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高畠さん

 昨年4月にはじめて緊急事態宣言が出されたときには、国際線の減便はあるものの、国内線はまだお客様が多い印象でした。空気が変わったと感じたのはゴールデンウィーク頃。搭乗口でアナウンスをする際、普段はたいてい目の前に列を作っていらっしゃるのが自分の担当便のお客様だとわかるのですが、この頃からフロアを見渡しても人が点々としかおらず、どなたが該当便のお客様かわからない。海外から到着する人の数や1日の便数に制限がかかるようになり、『かなり厳しい状況になっているな』と感覚的にも仕事への影響という点でも強く感じたことを覚えています。

 実際、コロナの影響は特に国際線で甚大でした。国際線の減便にともない国内線業務を担当するようになったものの、国際線担当の自分にできる業務はどうしても限られてしまう。去年の末頃からやむを得ず出勤できない日が続き、それまで週4~5回だった勤務が月に10~15回になってしまいました。

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「日本テレビ『日テレNEWS24』キャスター募集のお知らせ」の社内一斉メールが届いたのは、そんな生活が続いていた今年2月末。応募期間が1週間と非常に短かったので印象に残っています。当初はなんとなく、自分にあまり関係ないことと捉えていたのですが、職場の周りの仲間の勧めや就職活動時代を思い出したこともあり、挑戦することを決めました。

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