「大腸がん」の原因には、肉類の過剰摂取などが挙げられます。この病気は戦後、「食習慣の欧米化」を背景に、日本で勢力を拡大してきました。2019年の新規患者数は、男性が約8万8000人、女性が約6万8000人。男女をあわせると、国内で最も罹患者数が多いがん種となります。
ただ、心配しすぎることはありません。大腸がんは比較的進行が遅く、性質もおとなしいことで知られています。早期発見できれば、他の部位のがんと同様に、手術で切除することが可能です。最近はロボット手術や腹腔鏡手術などの低侵襲手術(体へのダメージの小さな手術)はもちろん、肛門から挿入した内視鏡の先端に取り付けた器具で切除する「内視鏡切除術」の導入も進み、治療成績が底上げされています。
一方、再発や転移などで手術ができない状態(ステージ4以降)になった場合は、複数の抗がん剤と分子標的薬などを組み合わせた薬物治療に切り替えることになります。
近年はこの薬物治療の進歩が著しく、遺伝子検査によって最適な薬を選択できる「個別化医療」が進んでいます。ひとくちに「大腸」と言っても、実は部位が細かく分かれ、それぞれに適した薬物治療があることが分かってきたのです。
遺伝子検査の話に入る前に、まずは「大腸」という器官についてご説明しましょう。
口から肛門までつながる消化管のうち、盲腸から直腸までの最後の部分を大腸と言います。その長さは成人だと約1.6メートルにも及び、様々な部位に分かれている。順番に説明すると、小腸の終末部を起点として「盲腸」「上行結腸」「横行結腸」「下行結腸」「S状結腸」「直腸」と続き、肛門へと至ります。
このひとつながりの臓器は、ぐねぐねと曲がって私たちのお腹に収まっていますが、自分から見て右側には「盲腸」「上行結腸」、左側には「下行結腸」「S状結腸」「直腸」が位置しています。
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source : 文藝春秋 2022年12月号