国語辞典編纂者の飯間浩明さんが“日本語のフシギ”を解き明かしていくコラムです。
【つ】「月がきれい」の伝説 ネットの人々と考察する
夏目漱石が英語教師だった頃、「I love you」を「君を愛する」と訳した生徒に対し、漱石は「日本人はそう直接的には言わない。『月がきれいですね』と訳しなさい」と諭した――こういう話を聞いたことはありますか。
自分の気持ちを婉曲に表す日本人らしい話、という印象を受けますが、実はこれは1970年代に現れた都市伝説、つまりガセネタです。漱石がそう諭したという話に関して、70年代よりもさかのぼる文献はありません。
私は以前、ツイッターで「月がきれいですね漱石説」に疑問を呈しました。私が見た例の中では、『言語生活』87年4月号の吉原幸子の文章が古いものでした。漱石発言を〈月がきれいですねえ〉と紹介していました。これに対し、いろいろな人が情報をくれました。
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source : 文藝春秋 2022年11月号