小さな大物 第426回

「文藝春秋」編集部
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【ヒント】
世界中の熱狂的なファンに支持され、いくつもの顔を持つ男は?

 製作・監督・脚本・美術・撮影・出演も手掛ける自主製作映画で、世界から熱狂的な支持を受ける塚本晋也監督。東京・渋谷界隈で生まれ育ち、絵を描くのが好きだった。

 中学に入ると、商業デザイナーの父の8ミリカメラを借りて撮影を始めた。処女作は、中学3年。水木しげる原作の「原始さん」だ。

「原始人が東京に現れ、ビルを壊して緑の街に戻す。思えば、以後のテーマである都市と肉体、テクノロジーなどすべて入っています。図書委員として図書イベントにかこつけて上映会を開催。友達を放送や集会委員長に送り込む宣伝作戦で、300人、ほぼ全校生徒に自分の映画を見てもらった。夢のような興奮でした」

 10代で7本の映画を撮り、演劇やCMの世界を経験。29歳で撮った劇場デビュー作「鉄男」がローマ国際ファンタスティック映画祭でグランプリを受賞。以降、国際映画祭の常連として、数々の賞を受賞する。

「20年間温めていた大岡昇平氏の『野火』は、戦争が近づいている不安や、戦争を知る人がいなくなる危機感から、戦後70周年に作りました。続く終戦時の映画も現在製作中です。悲劇でもヒロイズムでもないリアルな戦争の虚無を描きたい」

 ハリウッド映画をはじめ、NHK大河「いだてん」や朝ドラ「おかえりモネ」での演技も記憶に新しい。

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source : 文藝春秋 2023年2月号

genre : ライフ ライフスタイル