日本経済の中心地、東京・丸の内から、“マル秘”財界情報をくわしくお伝えする
★電撃退任の裏事情
トヨタ自動車の豊田章男社長が会長に退く。あわせて日本自動車工業会の会長も辞任する。後任に選ばれたのは53歳の佐藤恒治執行役員。レクサスの開発主査をつとめた開発部門のエース格である。注目すべきは社長職だけでなく、最高経営責任者(CEO)も引き継ぐことだ。「CEOこそ本当のトップ。少なくとも自動車メーカーとしてのビジネスは、本気で佐藤氏に譲るつもりだろう」(役員経験者)。
そうはいっても、トヨタ自動車は豊田家と切り離しては語れない。章男氏の35歳になる長男大輔氏も未来型のモビリティ都市「ウーブン・シティ」の開発事業に打ち込んでおり、いずれはトヨタのトップに就くはずだ。
「大輔氏へのバトンタッチには20年近くかかる。いかにスムーズに実現するのかが章男氏にとって最大の課題だ」(元側近)。ウーブンの開発事業に私財50億円を投じており、失敗は許されない。自動車事業は譲っても、ウーブン・シティ、モータースポーツなどは章男氏が陣頭指揮を執るとみられる。
社長交代の発表はサプライズだったが、2年ほど前から章男氏の公私にまつわる多くの噂が漏れてきた。また章男氏を支える役員に対し「無駄遣いばかりで利益を出さなくとも、章男氏に気に入られれば出世できる」などの批判が飛び交った。「番頭」の小林耕士氏が一線を退き、章男氏に直言できる役員はいなくなった。
「うちの社長は天才ですから」と社外に対して公言する幹部が増え、官僚や取引先をぎょっとさせている。最近の章男氏は、東京ミッドタウン日比谷の高層階に「迎賓館」と称されるオフィスをつくり、専らそこに閉じこもっている。
経団連はずいぶん前から、章男氏にラブコールを送ってきた。トヨタが経団連に背を向ければ、組織の存亡に関わる。昨年6月、自動車、素材、旅行などの産業を集めた「モビリティ委員会」を設け、章男氏や十倉雅和会長らが共同委員長に就いた。200社以上が参加し、経団連の中でも最大級の委員会だ。
有料会員になると、この記事の続きをお読みいただけます。
記事もオンライン番組もすべて見放題
初月300円で今すぐ新規登録!
初回登録は初月300円
月額プラン
1ヶ月更新
1,200円/月
初回登録は初月300円
※2カ月目以降は通常価格で自動更新となります。
年額プラン
10,800円一括払い・1年更新
900円/月
1年分一括のお支払いとなります。
※トートバッグ付き
有料会員になると…
日本を代表する各界の著名人がホンネを語る
創刊100年の雑誌「文藝春秋」の全記事、全オンライン番組が見放題!
- 最新記事が発売前に読める
- 毎月10本配信のオンライン番組が視聴可能
- 編集長による記事解説ニュースレターを配信
- 過去10年6,000本以上の記事アーカイブが読み放題
- 電子版オリジナル記事が読める
source : 文藝春秋 2023年3月号