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★副長官の悪評止まぬ
夏の霞が関人事でにわかに浮上したのは、栗生俊一官房副長官(昭和56年、警察庁入庁)の交代説だ。2年前の岸田文雄政権発足以降、霞が関官僚のトップの座に君臨するが、存在感は薄まる一方だ。いまや「栗生副長官を通さないといけない政策案件はほぼない」(霞が関幹部)と評される有様で、「首相周辺も働きぶりに不満を抱えている」(政府関係者)という。
旧統一教会と自民党との癒着などで、政権の対応はいつも後手後手。マイナンバーをめぐるトラブルひとつとっても、官邸に情報が集まっていなかった。
経済官庁幹部は「栗生氏にトラブル案件を報告しても『一体どうするんだよ』と役所の責任を問うばかり。最近の政策にも明るくはない。自然と足が遠のく」と話す。
栗生氏の悪癖は「無類の人事好き」。警察庁長官時代などには「好き嫌いで人事を動かし、向こう10年に渡って禍根を残した」(警察幹部)と言われる。特にお気に入りは中村格前警察庁長官(61年)。安倍晋三元首相射殺事件を受け、警察トップとして即辞任すべきとの声があがったが、再発防止策を取りまとめた上で「勇退」の形となったのは栗生氏の意向によるところが大きい。
事務副長官は総務、国交、厚労などを含む旧内務省系省庁出身で回してきたが、二代続けて警察出身者が務めている。「いい加減、警察は一度ポストを手離すべきだ」(経済官庁幹部)との声が上がるが、一部の警察キャリアが思い描くのは、三代続けての警察出身副長官の誕生である。
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source : 文藝春秋 2023年8月号