「ちょっとの勇気」で掃除も洗い物も

私が大切にしている10のこと

道場 六三郎 料理人
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92歳現役板前がこだわる、凜とした立ち姿

 あとひと月足らずで93歳になります。19歳の春に上京し、板前の修業を始めて七十余年。料理人ではいちばんの年長者になったでしょうか。家庭料理をご提案する「鉄人の台所」というYouTube番組も2020年に立ち上げて3年が経ちました。料理以外の趣味はもっぱら、28歳から始めたゴルフです。実は今朝も行ってきました。だいたい週に2回。ゴルフ場へ行くと「道場さん元気だね」と、みなさんに声をかけていただきます。古いゴルフ仲間たちからは、「希望の星、道場六三郎」なんて言われていますよ。

(1)料理人は立ち姿で見せる

 現役の板前として、みっともない姿は見せたくない。そう思って、2年ほど前から毎日、4000〜5000歩を目標に歩くようにしています。ゴルフ場に行けば、1ラウンド18ホール回りますから、カートを使っても1万歩ほどは歩きます。

 8年前に女房を亡くしてからは、次女・照子と2人暮らし。ゴルフがない日は2人で外へ出て朝食をとります。四ツ谷の住まいから、ホテルニューオータニや赤坂プリンスへ。坂道は車を途中で置いて登ります。照ちゃんが僕を引き摺って歩く。「牛に引かれて善光寺参り」じゃないですが(笑)。しんどいけど、嫌だけど歩く。照子がいるから無理にでも歩こうという気になれます。

 それから、週に2回は整体の先生が来てくれます。指圧マッサージをしてもらった後で、簡単な体操を一緒にやります。食事は一日二食。歩いてから遅めの朝食をしっかりと食べて、夕食は6時頃には済ませ、9時には床に就く。お陰様で最近はずいぶん健康的な生活になりました。

 僕の店「ろくさん亭」のある銀座の街はよく散歩します。「資生堂パーラー」や「宗家 源吉兆庵」でお茶をすることもあります。時折、ショーウィンドウに映る自分の姿をチェックします。少し前屈みになっていたりすると、「アッ」と思うんですね。腰を重心の真ん中にトンと持っていくイメージをもつと姿勢がよくなります。

 料理人は立ち姿が大事。うちのようにカウンター越しに接客する店では、調理場は舞台。役者になったつもりで、人に見られていることを意識して、身だしなみや立ち姿を整えます。美しく、隙のない仕事をするのが一流の料理人です。

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source : 文藝春秋 2024年1月号

genre : ライフ 働き方 ライフスタイル グルメ