「読書は忘れた頃に知恵になる」という言葉には衝撃を受けた。何と的を射た一言だろう。
昨今はとかく「コストパフォーマンス」が重要視される。ものごとにかけた金銭に見合う結果が出ているか。それが判断基準であり、「コスパ」と省略して言うことが多い。かけた金額に見合わなければ、「コスパが悪い」として、次からは振り向かれなくなる。
今や「タイムパフォーマンス」、つまり「タイパ」も並んで重要視される。ものごとにかけた時間に見合う効果が出ているかという基準だ。時間をかけても効果が出ない場合、「タイパが悪い」となって、次の出番はなくなる。
「コスパ」も「タイパ」も、満足のいく結果を少い金額、少い時間で得る。それが重要かつ一番のポイントなのだ。
「読書」はおそらく、最もコスパとタイパの悪いものだろう。見合った結果を早く欲しい社会、現実的なメリットを実感したい人々に対し、読書の効果を伝えることは至難だと思う。
よく言われることに「読書は教養をつける」と「読書は心を豊かにする」がある。しかし、両方ともあまりにご立派な決まり文句で、具体的に意味が取れない。
たぶん、知識や広い考え方を身につけたり、他人を思いやったり、立場を理解したり、そういうことは「教養」と「豊かな心」の一種なのだろう。
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