「読書は忘れた頃に知恵になる」という言葉には衝撃を受けた。何と的を射た一言だろう。
昨今はとかく「コストパフォーマンス」が重要視される。ものごとにかけた金銭に見合う結果が出ているか。それが判断基準であり、「コスパ」と省略して言うことが多い。かけた金額に見合わなければ、「コスパが悪い」として、次からは振り向かれなくなる。
今や「タイムパフォーマンス」、つまり「タイパ」も並んで重要視される。ものごとにかけた時間に見合う効果が出ているかという基準だ。時間をかけても効果が出ない場合、「タイパが悪い」となって、次の出番はなくなる。
「コスパ」も「タイパ」も、満足のいく結果を少い金額、少い時間で得る。それが重要かつ一番のポイントなのだ。
「読書」はおそらく、最もコスパとタイパの悪いものだろう。見合った結果を早く欲しい社会、現実的なメリットを実感したい人々に対し、読書の効果を伝えることは至難だと思う。
よく言われることに「読書は教養をつける」と「読書は心を豊かにする」がある。しかし、両方ともあまりにご立派な決まり文句で、具体的に意味が取れない。
たぶん、知識や広い考え方を身につけたり、他人を思いやったり、立場を理解したり、そういうことは「教養」と「豊かな心」の一種なのだろう。
有料会員になると、この記事の続きをお読みいただけます。
記事もオンライン番組もすべて見放題
新規登録は「月あたり450円」から
-
1カ月プラン
新規登録は50%オフ
初月は1,200円
600円 / 月(税込)
※2カ月目以降は通常価格1,200円(税込)で自動更新となります。
-
オススメ
1年プラン
新規登録は50%オフ
900円 / 月
450円 / 月(税込)
初回特別価格5,400円 / 年(税込)
※1年分一括のお支払いとなります。2年目以降は通常価格10,800円(税込)で自動更新となります。
有料会員になると…
日本を代表する各界の著名人がホンネを語る
創刊100年の雑誌「文藝春秋」の全記事、全オンライン番組が見放題!
- 最新記事が発売前に読める
- 毎月10本配信のオンライン番組が視聴可能
- 編集長による記事解説ニュースレターを配信
- 過去10年6,000本以上の記事アーカイブが読み放題
- 電子版オリジナル記事が読める
source : 文藝春秋 2024年1月号