忖度の果てに(2)

ムーンサルトは寝て待て 第5回

内館 牧子 脚本家
ニュース 社会 教育
イラスト・題字=紙谷俊平

 前回ここに、中高年も若い人も他人の目を意識しすぎることで、無気味な言葉が国中にあふれていると書いた。偉そうに思われたくない、断定は避けたい等々の忖度の果てである。

 かつて、日常会話での「かな」は、疑問の意味に使った。「薬味はショウガにしようかな、ネギにしようかな」とか「これ、どういう意味かな」とかだ。今は疑問の余地のないことや、正論にもつける。

「幼い子供を殺した犯人を、早く逮捕してほしいかなと思うってか」

「路肩に駐車するのは、事故になるのでやめてほしいかなと思うとか」

 こういう当然のことさえ、断言したくないのか。偉そうに思われると危惧するのか。町は春夏秋冬、かなかな蝉であふれている。その上、「とか」や「てか」も使い、二重のガードである。

「みたいな」も、いつから当たり前に使われるようになったのだろう。

「就職とかできないと困ってしまうかなみたいな」

有料会員になると、この記事の続きをお読みいただけます。

記事もオンライン番組もすべて見放題
新規登録は「月あたり450円」から

  • 1カ月プラン

    新規登録は50%オフ

    初月は1,200

    600円 / 月(税込)

    ※2カ月目以降は通常価格1,200円(税込)で自動更新となります。

  • オススメ

    1年プラン

    新規登録は50%オフ

    900円 / 月

    450円 / 月(税込)

    初回特別価格5,400円 / 年(税込)

    ※1年分一括のお支払いとなります。2年目以降は通常価格10,800円(税込)で自動更新となります。

    特典付き
  • 雑誌セットプラン

    申込み月の発売号から
    12冊を宅配

    1,000円 / 月(税込)

    12,000円 / 年(税込)

    ※1年分一括のお支払いとなります
    雑誌配送に関する注意事項

    特典付き 雑誌『文藝春秋』の書影

有料会員になると…

日本を代表する各界の著名人がホンネを語る
創刊100年の雑誌「文藝春秋」の全記事、全オンライン番組が見放題!

  • 最新記事が発売前に読める
  • 毎月10本配信のオンライン番組が視聴可能
  • 編集長による記事解説ニュースレターを配信
  • 過去10年6,000本以上の記事アーカイブが読み放題
  • 電子版オリジナル記事が読める
有料会員についてもっと詳しく見る

source : 文藝春秋 2023年11月号

genre : ニュース 社会 教育