前回ここに、中高年も若い人も他人の目を意識しすぎることで、無気味な言葉が国中にあふれていると書いた。偉そうに思われたくない、断定は避けたい等々の忖度の果てである。
かつて、日常会話での「かな」は、疑問の意味に使った。「薬味はショウガにしようかな、ネギにしようかな」とか「これ、どういう意味かな」とかだ。今は疑問の余地のないことや、正論にもつける。
「幼い子供を殺した犯人を、早く逮捕してほしいかなと思うってか」
「路肩に駐車するのは、事故になるのでやめてほしいかなと思うとか」
こういう当然のことさえ、断言したくないのか。偉そうに思われると危惧するのか。町は春夏秋冬、かなかな蝉であふれている。その上、「とか」や「てか」も使い、二重のガードである。
「みたいな」も、いつから当たり前に使われるようになったのだろう。
「就職とかできないと困ってしまうかなみたいな」
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source : 文藝春秋 2023年11月号