忖度の果てに(1)

ムーンサルトは寝て待て 第4回

内館 牧子 脚本家
ニュース 社会 教育
イラスト・題字=紙谷俊平

 日本語の乱れについてよく耳にする。

 私も「イヤな言い方だなァ」と思う言葉は多く、「乱れ」だと考えていた。だが、ふと気づいた。根っこは社会の「同調圧力」で、それに忖度した結果が「乱れ」や「イヤな言い方」をもたらしたのではないかと。

 昨今のイヤな言い方を考えると、傾向が見えてくる。重要なこととして、「自分はへりくだること」「まずは他者を尊ぶこと」「他者に合わせること」があるように思う。周囲が「そうしなさい」と言っているわけではない。だが、そうしないと自分だけ浮いたり、失礼な人に思われそうだ。特に、若い人は合わせないと生きにくいのではないか。

 私は最近の「様」「さん」のつけ方は常軌を逸していると思う。とにかく、他者に対してはことごとく「様」「さん」をつける。そうでないと、他者を尊んでいないように思われる。「呼び捨て」だと思われる。

 以下は、すべてテレビや活字媒体で実際に私が見聞きした事例である。

 ある会社が移転し、管理職が言った。

「従業員さん同士がソーシャルディスタンスを取れるように考えまして」

有料会員になると、この記事の続きをお読みいただけます。

記事もオンライン番組もすべて見放題
今なら初月298円で楽しめる

  • 今なら、誰でも、この価格!

    1カ月プラン

    キャンペーン価格

    初月は1,200

    298円 / 月(税込)

    ※2カ月目以降は通常価格1,200円(税込)で自動更新となります。

  • こちらもオススメ

    1年プラン

    新規登録は50%オフ

    900円 / 月

    450円 / 月(税込)

    初回特別価格5,400円 / 年(税込)

    ※1年分一括のお支払いとなります。2年目以降は通常価格10,800円(税込)で自動更新となります。

    特典付き
  • 雑誌セットプラン

    申込み月の発売号から
    12冊を宅配

    1,000円 / 月(税込)

    12,000円 / 年(税込)

    ※1年分一括のお支払いとなります
    雑誌配送に関する注意事項

    特典付き 雑誌『文藝春秋』の書影

有料会員になると…

日本を代表する各界の著名人がホンネを語る
創刊100年の雑誌「文藝春秋」の全記事、全オンライン番組が見放題!

  • 最新記事が発売前に読める
  • 毎月10本配信のオンライン番組が視聴可能
  • 編集長による記事解説ニュースレターを配信
  • 過去10年6,000本以上の記事アーカイブが読み放題
  • 電子版オリジナル記事が読める
有料会員についてもっと詳しく見る

source : 文藝春秋 2023年10月号

genre : ニュース 社会 教育