私が小学生の時は、5月の「母の日」が近くなると、必ず母親にちなむ絵を描いたり、カーネーションを画用紙で作ったりの授業があった。たぶん「図画工作」の時間だったと思う。
当時、昭和30年頃の「母の日」には、当たり前の決まりごとがあった。母親がいる児童は赤いカーネーション、いない児童は白いカーネーションなのだ。
今にして思うと、幼い子供に何というむごい差別をしていたものかと思う。だが「当たり前」のことであり、教師も異を唱えなかったのではないか。
私たち児童も、白いカーネーションの造花を作っている子を見ると、
「あ、そうか。〇〇ちゃんは白か」
と、これも「当たり前」に言っていた。長い茎のカーネーションを作った年は、教師が、
「母の日には『お母さん、ありがとう』と言って、渡しましょう」
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source : 文藝春秋 2024年5月号