伊勢ヶ濱親方 名伯楽のひみつ

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育てた関取は12人。合併を乗り越え「最強」相撲部屋へ

 大相撲界で、当代きっての名伯楽といえば元横綱旭富士の伊勢ヶ濱親方だろう。今年三月春場所では愛弟子の尊(たける)富士が、実に110年ぶりに新入幕初優勝の快挙を成し遂げた。伊勢ヶ濱部屋は横綱照ノ富士、幕内熱海富士、翠富士、錦富士、尊富士、宝富士の6名の関取を抱え、五月夏場所前には、不祥事から部屋が閉鎖となった宮城野部屋(親方は元横綱白鵬)の力士たちも預かることに。若手の十両である伯桜鵬も加わって、現在、擁する関取は7名となり、総勢41名の力士を束ねる。

 いまや伊勢ヶ濱部屋は「最強」との呼び声が高い。

 尊富士は、私と同じ青森県出身で、5月初めには地元で優勝パレードをしてきました。五所川原市中心部と、尊富士の地元の同市金木町には、計5万5000人の方たちが集まってくださいました。金木町は太宰治の生誕地として観光名所でもありますが、人口7000人ほどの小さな町。それなのに2万人はいたのじゃないですかね。やはり地元から優勝力士を出すって嬉しいものです。凱旋パレードは自分が現役時代にして以来でした。何十年ぶりだろう?

凱旋パレードで歓声に応える親方と尊富士 ©共同通信社

 4月初めには宮城野部屋と合併して、計41人の弟子を預かることになりました。報道では「寝室が足りないのでは」など勝手に心配されていましたが(笑)、元々人数が増えた時のために地下の部屋を確保していたので問題はありません。

 たしかに、もし師匠1人で部屋をやるならば、私の経験では二十四、五人が限界かなと思います。今までに30人以上の弟子がいた時期もありますが、そうなると、名前も覚えないうちに辞めていってしまったこともありましたから。

 ですが、うちの部屋には今、楯山(元幕内誉富士)、宮城野、間垣(元幕内石浦)の3人の部屋付きの親方がいて、横綱の照ノ富士もいる。幕内力士たちもそれぞれの立場で若い子らを指導してくれてるから、私がひとりでイチからすべてをやることもない。任せるところは任せています。気苦労が多いのは、うちのおかみかな(笑)。

 宮城野親方は毎日廻しを付けて稽古場で指導していますし、ちゃんこもみんなで、「手が空いたらどんどん食べちゃえ」と、一緒になって食べています。(4月初めに引っ越しを受け入れ、場所前までに)お互いにだいぶ慣れて来ているようです。

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source : 文藝春秋 2024年7月号

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