《スペシャル特集》10人が太鼓判。ジャンル別ガイド
今年の夏は猛暑が続き、私のような老兵には厳しい日々でした。ようやく過ごしやすい秋の訪れです。秋の夜長に私が皆さんにお勧めしたいのが「戦争映画」です。過酷な条件下、勝利を求めて戦う人間の姿と悲しみや友情などが描かれ深みのあるドラマが展開される重厚な作品から、スカッとするアクションを展開し、疲れた心を元気にしてくれる作品まで、さまざまな戦争映画が存在しますが、ここでは、軍事のプロの立場からも太鼓判を押せる作品を厳選して紹介したいと思います。
『史上最大の作戦』。まずは第二次世界大戦からです。この映画は1962年公開の作品であり、1944年6月6日に行われた連合国軍のノルマンディー上陸作戦を描いています。この大作戦の再現は、製作総指揮のダリル・F・ザナックの徹底したリアリズムと周到な準備、米英軍の全面協力により完成されました。この映画の凄さは、事実を忠実に再現したことに加え、その規模の大きさです。撮影に10カ月以上、フランスでは31カ所でロケを行い、米英仏独の48大スターという空前の豪華キャストを揃えました。
製作費は当時で43億円(現在の100億円ほど)を上回ったとのことです。この映画は、連合国側のアイゼンハワー以下の指揮官達がいかに作戦を進めたのか、片やドイツ側のロンメルなどの首脳部の信じられないほどの過誤をドラマ化したものであり、その中に人間性溢れる物語が織り交ぜられています。
有名なテーマ曲は、映画にも出演しているポール・アンカによるものです。あのショーン・コネリーがお笑い担当として出演しているのには驚きますが。原題の「ザ・ロンゲスト・デイ」は、ロンメルの「諸君、上陸作戦の最初の24時間は決定的なものとなる。そして両軍にとり一番長い日になるだろう」との言葉からとったものです。
『戦略大作戦』は1970年公開。原題は「ケリーズ・ヒーローズ」であり、主人公のケリーを中心としたアメリカ兵たちの物語です。クリント・イーストウッド演じるケリー二等兵がドイツ兵捕虜からドイツ軍占領地の銀行に金塊があるとの情報を得て、軍の作戦行動から離れて仲間たちと金塊を盗みに行くというアクションと笑い溢れる痛快な戦争映画です。監督はアクション映画を得意とする『荒鷲の要塞』『追いつめて殺せ!』のブライアン・G・ハットンであり、数カ月にわたるユーゴスラヴィアでのロケを行っています。
ぶっ飛んだアメリカ兵の物語
この映画は、シリアスな戦争ものとは違い主人公たちが金塊を手に入れるために勝手に戦い、そしてまんまと金塊をせしめるというぶっ飛んだ野郎達の物語です。脇を戦車長を怪演したドナルド・サザーランド、ケリーたちの上官テリー・サバラスらが固めています。この映画を一口でいえば、戦争映画に銀行強盗映画をミックスした作品であり、戦場のアクションと計画的な犯罪を楽しんでいただこうという作品です。
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