藤子・F・不二雄 ドラえもん危機一髪

ライフ 昭和史 読書 ライフスタイル 歴史

藤子・F・不二雄(1933〜1996)は、『ドラえもん』や『パーマン』、『エスパー魔美』、『キテレツ大百科』など、多くの漫画作品を世に送り出し、親しまれた。漫画家のえびはら武司氏が、「最初の弟子」として人気作の制作秘話を明かす。

 僕は幼い頃から藤子不二雄の大ファンでした。最初の記憶は『海の王子』かな。お話は楽しいし、キャラクターもかわいくて魅力的。すぐに夢中になりました。

 そのうち読むだけじゃなく、自分でも漫画を描くようになり、まわりには「藤子不二雄の弟子になる!」と宣言。高校3年生のとき、勇気を出して会いに行くことにしました。

 対応してくれたのは、なんと藤本弘(藤子・F・不二雄)先生ご本人。トレードマークのベレー帽をかぶり、パイプたばこをくわえていました。持参した漫画を見せ、思いきって「先生の弟子になりたいんです!」と告白。先生は「高校を卒業してから来たらどうかな」と言ってくれました。

藤子・F・不二雄 Ⓒ文藝春秋

 ところが、いくら待っても連絡がありません。そこで仕方なくデザインの専門学校に入ることにしました。その直後にチーフアシスタントの方から電話がかかってきたんです。誤解があって、お互い連絡を待っていたことが分かりました。

「専門学校に入っちゃったなら無理だね」という話になりかけたんですが、そのとき助け船を出してくれたのが藤本先生でした。「授業が終わってから来ればいいよ。学校は続けなさい」と言ってくれたのです。

えびはら武司氏(本人提供)

 昭和48(1973)年の春、念願かなって藤子スタジオの一員になりました。まず驚いたのが、両先生が別々の部屋で漫画を描いていたことです。藤本先生は大部屋でアシスタントと机を並べて描き、安孫子素雄(藤子不二雄Ⓐ)先生は個室で描いていました。今ではよく知られていますが、2人で一つの作品を描いていたのは『オバケのQ太郎』まで。その後は別々に描いていたんです。

有料会員になると、この記事の続きをお読みいただけます。

記事もオンライン番組もすべて見放題
今だけ年額プラン50%OFF!

キャンペーン終了まで時間

月額プラン

初回登録は初月300円・1ヶ月更新

1,200円/月

初回登録は初月300円
※2カ月目以降は通常価格で自動更新となります。

オススメ! 期間限定

年額プラン

10,800円一括払い・1年更新

450円/月

定価10,800円のところ、
2025/1/6㊊正午まで初年度5,400円
1年分一括のお支払いとなります。
※トートバッグ付き

電子版+雑誌プラン

12,000円一括払い・1年更新

1,000円/月

※1年分一括のお支払いとなります
※トートバッグ付き
雑誌プランについて詳しく見る

有料会員になると…

日本を代表する各界の著名人がホンネを語る
創刊100年の雑誌「文藝春秋」の全記事、全オンライン番組が見放題!

  • 最新記事が発売前に読める
  • 毎月10本配信のオンライン番組が視聴可能
  • 編集長による記事解説ニュースレターを配信
  • 過去10年6,000本以上の記事アーカイブが読み放題
  • 電子版オリジナル記事が読める
有料会員についてもっと詳しく見る

source : 文藝春秋 2025年1月号

genre : ライフ 昭和史 読書 ライフスタイル 歴史