旧日本軍は、なぜ無謀にも太平洋戦争に突き進み、敗北したのか。エリート軍人たちの人物像や、陸海軍の人事上の問題点などを分析することで、現在の企業や官僚組織に通じる〝失敗の本質〟を探る大型座談会を、昭和史家の保阪正康さんを中心にして、昨年から2度開きました(2023年12月号「昭和陸軍に見る日本型エリート」、2024年5月号「昭和海軍に見る日本型エリート」)。
今回、2024年12月号では「真珠湾奇襲 山本五十六名将伝説を検証する」と題した、25ページの大座談会を掲載しています。1941年12月8日未明に行われた真珠湾攻撃で、アメリカ側は戦艦アリゾナなどの6隻の艦船が撃沈され、航空機231機の損害を出しました。そして死者は2400名を超えています。一方、日本側の犠牲は航空機29機、特殊潜航艇5隻のみ。数字の上では、大戦果を挙げたと言えます。その後、マレー沖海戦での勝利や、マニラ・シンガポールの占領など、日本は快進撃を続けました。
ただ、このわずか半年後、1942年6月のミッドウェー海戦の大敗北から、一転して日本は追い込まれていきました。一体、こんな短期間で情勢が一変したのは、なぜなのか。真珠湾攻撃に至る経緯や作戦立案についての疑問、真珠湾での勝利はその後の戦いにどう影響したのか……。
これらの謎解きに参加して下さったのは、保阪さんのほか、大和ミュージアム館長の戸髙一成さん、現代史家の大木毅さん、元自衛艦隊司令官の香田洋二さん、サントリーホールディングス社長の新浪剛史さん、一橋ビジネススクール特任教授の楠木建さんの6人。
座談会で話が盛り上がった一つが、連合艦隊司令長官の山本五十六にまつわる〝伝説〟です。一般的に山本は、人情味が厚く、礼儀正しい人物として知られています。そして、「理想の上司」として挙げる方も少なくありません。「うちの上司が山本みたいに立派な人だったら……」。そう思ったことのある方も、多いのではないでしょうか。
上司としての山本と言えば、「やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ」という格言が有名でしょう。上に立つ者の心得として、企業のマネジメント研修などで紹介されることもあると聞きます。
しかし、『「太平洋の巨鷲」山本五十六』(角川新書)の著者である大木さんは、山本の人物像について、こう指摘しました。
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