やなせ先生と「あんぱん」と私

梯 久美子 ノンフィクション作家
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朝ドラ誕生の原点にカワイイの伝道師との出会いがあった

 脚本家の中園ミホさんから私のスマートフォンにショートメールが入ったのは一昨年の7月のことです。

「いま、やなせスタジオがある新宿区のマンションの前に立っています」

 やなせスタジオとは、2013年に亡くなった漫画家のやなせたかし氏の個人事務所です。そこに打ち合わせに来たけれど、同行者がまだ到着しないので、マンションの前で待っているというのです。

 中園さんのメールにはそれ以上のことは書かれていませんでしたが、私はピンときました。これは、先生の作品をドラマ化するに違いないと。

 興奮した私は「30年以上前、私、そのマンションに住んでました。そこから見上げてみて。向かって左手の3階の角部屋です」と返信しました。

 20代の頃、やなせ氏が創刊した雑誌『詩とメルヘン』の編集者をしていた私は、後述するような事情で、やなせ氏の自宅と仕事場があったマンションの一室に住んでいたのです。やなせ氏は私にとってただひとりの師で、当時も今も「やなせ先生」と呼んでいます。

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source : 文藝春秋 2025年6月号

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