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震災半年で異動 東京社会部から徳島へ

阪神・淡路大震災の光景 ©iStock.com

 震災半年で異動した東京社会部では、介護保険制度創設、日の出町ごみ処分場の汚水漏れ、医療保険制度改革を取材。旧厚生省担当となり、初の脳死臓器移植を経験したほか、歯科医師国家試験漏洩事件で漏洩源を特定する特ダネを出して、13年間の記者生活にいったんピリオドを打ち、ニュースデスクとなって徳島へ。

 3年の徳島勤務では、なぜか3回の県知事選を経験する。1回目は通常の任期満了。2回目は現職知事が東京地検特捜部に逮捕されたことに伴う出直し選挙。そして3回目は、出直し選挙で誕生した民主党系知事に対する、自民党県議らの不信任決議による再度の出直し選挙。現職が再度立候補するのかどうか報道陣に問われ、徳島1区選出の民主党の仙谷由人衆議院議員(当時)が「男の子は売られた喧嘩は買わなきゃだめでしょ」と言い切ったのが懐かしい。対する自民党は総務省から徳島県庁に出向していた部長を擁立。大接戦の末、20万対19万で自民が激戦を制した。

大阪ではJR福知山線脱線事故を取材

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 その直後、私は大阪府警キャップに。ハンナンBSE補助金詐欺事件、奈良女児誘拐殺害事件の修羅場をくぐり、2005年(平成17年)に107人が死亡するJR福知山線脱線事故が発生。その日から脱線事故担当デスクとなり、さらにアスベスト健康被害問題、発達障害のシリーズ企画も担当。同和行政の問題を追及する番組では部落解放同盟と、部落差別の実態に迫る番組では、解放同盟と対峙し「部落差別は解消した」と主張する民権連=民主主義と人権を守る府民連合と、がっぷり四つに組んだ。脱北者の悲劇を描く番組では朝鮮総連と切り結び、在日差別発言訴訟では差別発言者と対峙。いずれも相手方の主張をはね返した。真実の報道を貫き、圧力に負けなかったと自負している。

福知山線脱線事故現場 ©文藝春秋