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《ジャニーズ一強の崩壊》JO1の白岩瑠姫も…元Jr.の「韓国系プロダクション」流出が止まらないワケ

男性アイドルシーンの転換点 #1

2021/05/11

「THE FIRST」を手掛けるSKY-HIの危機感

 K-POP発のオーディション番組がヒットを生むなか、最近は日本独自の企画も始まった。現在注目されているのは、AAAの日高光啓が個人活動のSKY-HIとして手がけているオーディション「THE FIRST」だ。その経過は、4月からHuluと日本テレビの情報番組『スッキリ』で随時公開されている。

 この企画は、SKY-HIが立ち上げた新会社・BMSGによるものだ。同社のホームページでは、現在の日本のエンタテインメント状況に対する強い危機感が示されている。

 例えば、歌やダンスといった芸能活動のクオリティよりも愛嬌や対応に需要が傾いた際に、本人がそれを享受してしまえば、需要はより高まる。いつしか芸能というものはそういうものだと認識が進んでいってしまい、接客サービス業と化す。(略)

 ただ事実、楽曲やパフォーマンスのクオリティはK-POPに求めるようになる。若い才能は、次々と活躍の場を韓国に移している。近年では、彼等はメッセージやスタンスまで持ち合わせてきた。「日本は日本、海外は海外」と切り捨てていい話ではない。だって、今のまま進めば、10年後の日本から生まれるPOPS…特にダンス&ボーカルは、どのような形になっていくだろうか。――BMSGオフィシャルページ「WHAT'S "BMSG"

 そこで指摘されている「愛嬌や対応」や「接客サービス業」とは、日本のアイドルでは男女ともに見られるアプローチだ。AKB48や坂道グループなどの握手会だけでなく、バラエティなどの冠番組でパーソナリティ(人格)を売りにするジャニーズタレントの方法論も指していると考えられる(SKY-HI自身も元ジャニーズJr.だ)。

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 日本芸能界のシステムが「アイドル音楽はこの程度でいい」といった固定観念を生み、音楽のアップデートを疎かにしてきた。

【動画】「THE FIRST」のティザー動画
 

K-POPとJ-POPの“決定的な違い”

 対してK-POPは、ダンスやボーカル、ラップなどのパフォーマンスに重点を置いてきた。日本のアイドルのようにパーソナリティを売るバラエティ企画もあるが、それは副次的なものだ。K-POPはあくまでも「音楽をちゃんとやるアイドル」を目指してきた。

 長いアイドルの歴史がある日本からは、少し前まではそうしたK-POPの姿勢が愚直なものに見えていたかもしれない。J-POPアーティストは、海外挑戦の失敗を繰り返してきたからだ。

 しかしK-POPは約20年もの間、トライ&エラーを繰り返しながら、結果的にPSYやBTS、BLACKPINKなどのグローバルブレイクを生み出してきた。