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3人のシングルマザーを喰い物にした石井の正体は…

 そのC子さん宅こそ、夫と別居した柿本が、歩夢くんを連れて最初に身を寄せた場所だったのだ。2人は保育園のママ友同士。C子さんは石井らが住む借家の目と鼻の先に住んでいた。

「ともに友達が少なく、人に影響されやすいタイプに見えた」(園の関係者)

 ほどなく石井と接点を持った柿本母子は、居候先を現場の借家に移し、支配下に置かれる。以降、小奇麗な美人として知られた柿本は、髪はボサボサ、身なりもみすぼらしくなり、顔から生気が消え失せた。

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 昨年9月。市内のラーメン屋で、丹羽が歩夢くんを正座させ、執拗に説教を続けていた。柿本は我が子を庇うどころか、無言でその様子をスマホ撮影。見かねた店主が「児童虐待の可能性がある」と市に通報したほどだ。だが、何食わぬ顔でラーメンを平らげ、会計の際、柿本を「仲の良いシングルマザーですよ」と愛想よく説明した石井こそが真の“黒幕”だった。

 3人のシングルマザーを喰い物にした石井。その正体は無職の中年女である。

 石井は埼玉県内で、競艇選手の父とスナック経営者の母の長女として生まれた。1度目の結婚は19歳の時。相手は父と同じく競艇選手で、2女をもうける。だが、夫は98年、40歳の若さで死去。その後は川口市内の男性と再婚した。

 一方、長らく空き家だった本庄市の現場民家に借主が現れたのは、今から12年前のことだ。住人は苗字の違う老人と老女、老女の息子の3人。実は、彼らはみな、後から4人目に加わる石井の身内だった。

「元競艇選手だという老人が石井の父、県南の家を売って越してきた資産家の老女が石井の義母、老女の息子が石井の2番目の夫のようです。この夫は、10年ほど前、40代で亡くなりました」(地元住民)

 そして、入れ替わるように登場したのが丹羽だ。他方、石井の父と義母は数年前、相次いでこの家から忽然と姿を消している。

「警察が毎日、家の敷地内を掘るなどして、捜索をしています」(近隣住民)

 石井が支配してきた築50年余の借家は、今も不気味な佇まいをみせている。

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