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 それにもかかわらず、なぜトヨタは平成21(2009)年から平成25(2013)年まで税金を払っていなかったのでしょうか?

 実は、そこには巧妙なカラクリがあるのです。

 そして、そこに、日本税制の最大の闇が隠されているのです。闇というのは、近年の日本の税制が、大企業を中心に設計されてきたことです。

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 その象徴的な出来事がトヨタの「5年間税金なし」なのです。

トヨタ優遇税制の数々

 トヨタが、税金を払っていなかった最大の理由は、「外国子会社からの受取配当金減税」と「試験開発費減税」が行われたからです。

「外国子会社からの受取配当金減税」とは外国の子会社から配当金を受け取った場合、その95%は課税対象からはずされる、というものです。これは、現地国と日本で二重に課税を防ぐ、という建前でつくられた制度です。

 外国子会社からの配当金は現地で税金が源泉徴収されているケースが多く、日本でも課税すれば二重課税になるという理屈です。

 しかし、二重課税を防ぐのであれば、外国で払った税額を控除すればいいだけです。実際に以前はそうされていました。

 ところが、平成20(2008)年からは外国で支払った税金を控除するのではなく、外国子会社からもらった配当金そのものを所得から控除できることになったのです。

 これにより、外国で支払った税金が日本の法人税よりも安ければ、その分、企業が儲かることになったのです。そのため、タックスヘイブンのような税金の安い国に、子会社を設け、その子会社に利益を集中させるというような企業も増えました。

 そして、トヨタが税金を払わずに済んだもう一つの減税、 「試験開発費減税」にも触れておきましょう。

 平成15(2003)年に導入されたこの減税は、製造業の大企業に大きなメリットがあります。

 試験開発費の減税というのは、簡単に言えば、「試験開発をした企業はその費用の10%分の税金を削減しますよ」という制度です。限度額はその会社の法人税額の20%です。

写真:snowleopard/イメージマート

 これを大まかに言えば、製造業の大企業の法人税が20%も下げられたのです。減税対象がかなり緩く設定されているので、製造業の大企業のほとんどは対象となりました。

 試験開発費による減税額は、2023年度に7636億円にも達しています。そして、7636億円の減税額の65%を、日本企業全体の0・2%の大企業が享受していたのです。

 紛れもなく、トヨタなどの大企業のための減税策なのです。そのため、トヨタは平成20(2008)年から5年間も法人税を払わずに済んだのです。