株式時価総額2兆4600億ドル(約359兆円)で世界4位の米アマゾン・ドット・コム。創業者のジェフ・ベゾス氏は「負け戦をしない男」として知られている。
ベゾス氏が率いる宇宙開発ベンチャー「ブルーオリジン」は、テスラのCEO、イーロン・マスク氏が率いる「スペースⅩ」とよく比較される。NASA(米航空宇宙局)とともに人類を再び月面に送り込む計画を進めているスペースXは今年6月、大型ロケット「スターシップ」を定期試験中に爆発・炎上させた。
スターシップの打ち上げは直近で4回連続失敗している。だが一方でスペースXは2024年に133回のロケット打ち上げを成功させ、米国の打ち上げ総数145回の大半を占めた。NASAはスペースX依存を懸念し、ライバルの台頭を渇望しているという。
その最右翼がベゾス氏のブルーオリジン。同社は今年1月、大型ロケット「ニューグレン」の打ち上げに初めて成功した。2025年に計画している打ち上げは12回で、スペースXの10分の1以下だ。
しかしベゾス氏は慌てない。昨年9月にYouTubeに登場した同氏はこう語っている。
「我々は宇宙に行く方法を知っているし、月に着陸する方法も知っているが、これを100倍安くする必要がある。それによって、人類にとって本当の未来が訪れる」

実際、今回初打ち上げに成功したニューグレンはスターシップの2倍に当たる8基の通信衛星を低軌道に運ぶことができる。コストパフォーマンスはブルーオリジンがスペースXを50%上回るとされ、低軌道に無数の衛星を浮かべて地球規模の通信ネットワークを構築する「衛星コンステレーション」を手掛けるほとんどの企業がブルーオリジンと契約している。その中には、日本の楽天グループが出資する米ASTスペースモバイルも含まれる。スペースXとの差をじわりじわりと詰めているのだ。
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