時代を読み解くキーワードは「団塊」と「年金」だ
平成の30年間をひと言でまとめるなら、「日本がどんどん貧乏くさくなった」だ。
国民のゆたかさの指標としては1人当たりGDP(国内総生産)を使うのが一般的だ。日本はバブル経済の余勢をかって1990年代はベスト5の常連で、2000年にはルクセンブルクに次いで世界2位になったものの、そこからつるべ落としのように順位を下げていく。
2018年の日本の1人当たりGDPは世界26位で、アジアでもマカオ(3位)、シンガポール(8位)、香港(17位)に大きく水をあけられ、いまや韓国(31位)にも追い越されそうだ。主要7カ国では首位から6位に転落し、かつては世界の15%を占めていたGDPも30年間で6%に縮小した。
平成の日本経済は「米中2強」を軸に拡大するグローバルマーケットから完全に脱落した。訪日観光客が増えて喜んでいるが、これはアジアの庶民にとって日本が「安く手軽に旅行できる国」になったからだ。
「エンゲージメント」は、会社への関与の度合いや仕事との感情的なつながりを評価する基準だ。エンゲージメントの強い社員は仕事に対してポジティブで会社に忠誠心を持っており、エンゲージメントが低いと仕事にネガティブで会社を憎んでいることになる。当然、社員のエンゲージメントが高い会社ほど生産性は高くなる。
近年になってエンゲージメントの重要性が認識されるようになり、コンサルタント会社を中心にさまざまな機関による国際比較が公表されている。日本経済の「不都合な真実」は、ほぼすべての調査において、日本の労働者(サラリーマン)のエンゲージメントが極端に低いことだ。――世界22カ国のエンゲージメントレベルを評価した調査では、トップはインドの評価点25%で、メキシコが2位で評価点19%、アメリカは中間で評価点1%、日本は最下位で評価点はマイナス23%だった。
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source : 文藝春秋 2019年6月号