日本でも東北の奥羽山脈の一部でしか見られない「樹氷」。氷点下で過冷却水滴が樹木に着氷してできる現象で、蔵王では特に巨大化する。しかし近年、虫による食害や温暖化の影響で減少している。50年以上、樹氷を撮り続けた写真家、川田勘四郎氏の写真で変遷を辿った。

風上に向かって氷結するこの立像は「エビの尻尾」と呼ばれる。風速約20m/s、約マイナス18℃のハードな気候でのみ育つ。蔵王ロープウェイの大久保靖彦氏(当時社長)らの協力のもと、明け方の撮影に成功した
「なかなか太ってくれない」。写真家が語る樹氷の変化
蔵王に生まれ、1964年からスキーのインストラクターを始めました。樹氷原を滑るうちに、樹氷の変化に興味を持ちました。昔から写真も好きだったので、76年からフリーカメラマンとして美しき蔵王をテーマに撮り続けています。
樹氷は毎年12月末から3月上旬まで見られます。長年観察していると80年頃(写真下A)と比べ、95年の撮影では樹氷の元となるアオモリトドマツ林が疎ら(B)になっていることがわかります。害虫の食害が原因で、木々が枯れてしまったからです。また温暖化で雪量が少なく風も弱いため、近年は樹氷がなかなか太ってくれません。


それでも白一色だった樹氷原が、太陽や雲の動きで赤銅や黄金、薄暮色に変わる神秘的な世界は、蔵王でしか見られません。夢中で樹氷を追う瞬間こそ、カメラマンの醍醐味なのです。

川田勘四郎●かわだかんしろう 1944年生まれ。山形市観光協会などに写真を提供する。作品は数万点に及ぶ

地蔵山頂駅付近・ザンゲ坂コース入口にて。巨大化した樹氷、アイスモンスターが並ぶ。2019年1月撮影
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