文・あかしゆか
京都出身、28歳。大学時代に本屋で働いた経験から、文章に関わる仕事がしたいと編集者を目指すように。 現在はウェブ・紙問わず、フリーランスの編集者・ライターとして活動をしている。2020年から東京と岡山の二拠点生活をはじめ、2021年4月、瀬戸内海にて本屋「aru」をオープン。
今年の4月、岡山県の瀬戸内海沿いにある児島という街で、海が一望できる小さな本屋を開店した。
普段は東京でフリーランスの編集者やライターとして働く私は、月のうち3週間を東京で過ごし、残りの1週間を、児島で本屋を営みながら過ごしている。
東京と児島での暮らしは、当たり前だけれど全然違うもので、違うどころか「真逆」と言っても過言ではないほどだ。
東京は、言わずもがな大都会。混み合う道路や高層ビルに、狭い空。私は渋谷の近くで一人暮らしをしていて、仕事やプライベートを含め、さまざまな人に会いに行く。
一方で児島は、大自然がそばにある街だ。目の前にある海と山、わんさか生い茂る草木や花に、広い青空。私は友人が運営している宿泊施設で共同生活をしながら、日中のほとんどの時間を店で過ごし、そこで、人が訪れるのを待っている。
都会と自然、一人暮らしと共同生活、動く姿勢と待つ姿勢。ひとりの人間なのに、1ヶ月のうちで、暮らし方がまったく違う。
この原稿を書いている今は岡山にいる。だから今日は、岡山での暮らしのことを少し書いてみたいと思う。
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source : 文藝春秋 2021年8月号