中国の未来都市「深圳」がすごい 現地ルポ

井上 久男 経済ジャーナリスト
ビジネス 中国 企業 テクノロジー

EV、ロボット、ドローン……最先端の技術がこの街にある

深圳市にあるファーウェイ本社 ©時事通信社

 中国・深圳(しんせん)市内を走る地下鉄に乗り、竜華区にある「民楽駅」で降りて地上に上がると、その光景に度肝を抜かれた。日本では見たことのない規模の電気自動車(EV)の急速充電器が大量に設置された基地が、あちこちに点在しているのだ。

 地元電力会社が運営しているとみられ、1列に100基の急速充電器がずらりと並び、それが4列もある。外側にある旧式の充電器も含めると、600基ほどは並んでいるだろうか。

 午後3時を過ぎると、早番勤務を終えたEVタクシーが続々と到着する。地方から出稼ぎで来たという、充電中の運転手に話を聞いてみた。

「近くにも同じような充電基地が3カ所あるが、これからまだ増えると聞いている。深圳はEVタクシーが2万台近く走っており、設備が足りないからでしょう。約1時間でバッテリーを満タンにして350キロは走れる。これまで乗車中に電気が切れたことはないよ。充電料金の80元(約1360円)はスマートフォンで支払うことになっている」

 実際、筆者が1週間ほど滞在した深圳市内のホテルや取材先でタクシーを呼ぶと、8割程度が緑色のナンバープレートを付けたEV。大型路線バスもEVが多かった。タクシーはスマホ経由で自分の位置情報を運転手に伝えて呼ぶことができる。中国版ウーバーと呼ばれる「滴滴出行」という会社のサービスだ。

 タクシーの運転手がスマホで充電料金を支払っているように、深圳市内のレストランや喫茶店、タクシー代、地下鉄運賃などの支払いは、ほとんどの中国人がスマホを使っている。中国のIT企業「テンセント」が運営するメッセージアプリ「We Chat」などは、国内に口座を持っていれば決済機能を付けることができ、それで支払っているのだ。

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source : 文藝春秋 2018年07月号

genre : ビジネス 中国 企業 テクノロジー