年をとると、たいていのことには驚かなくなる。衆院選挙が終った。自公政権が大勝し、安倍政権が当分の間続くことになった。そのこと自体はかなり前から予測されていたことなので、あまり驚かなかった。そもそも今回の突然の解散総選挙は安倍政権の側が勝てる見込みがあると踏んで自ら行ったことであって、やりたくないのに政治状況に追い込まれてやむをえず行った「追い込まれ解散」ではなかった。
状況に追い込まれて、準備不足のまま衆院選を戦い、大惨敗して、いまだに収拾がつかない状態にあるのは野党の側である。すでに選挙後何日も経つというのに、野党の側はこの選挙結果(大敗北)をまともに総括しきれていないし、今後、政党としてどう敗戦処理(人事と活動方針の建て直し)をしていくのかも決まっていないようだ。当分の間、野党の側が与党に拮抗するだけの政治パワーを身につけるのは難しいのではないか。とくに希望の党の小池代表は、これからますます都知事と国政政党の代表の二足の草鞋をはいたままでいることの難しさに直面して、そう遠くない時期に片方をぬぐことになると思う。
思い返すと、選挙の開票がはじまったとき(10月22日20時)、すぐにテレビ各局の事前予測調査と当日の投票者に対する出口調査の結果発表がなされ、与党大勝はアッという間に既定の事実として固まった。
最近、事前予測調査の精度が向上したため、終盤の情勢予測と実際の選挙結果の差がぐっと縮まった。出口調査とリアルの結果との差異も縮まっている。
開票がはじまって間もなく、出口調査にもとづく第一回の当選予測が、各局ではじまった。その第一報は、選挙戦の最終盤予測を裏付けるもので、与党圧勝を予測するものだった。この日、フジテレビでは、前回アッサン・エンダムに惜敗した村田諒太のミドル級タイトルマッチ再戦の中継が開始されていたので、テレビのチャネルを切換えながら、開票速報と交互に見ていた。
しかし、選挙のほうは大勢は予測通りということが開票後すぐにわかってしまったので、徐々にボクシングを見る時間のほうが長くなっていった。そしてついに第7ラウンドが終ったところで、エンダム側の試合放棄による劇的な村田のTKO勝ちとなった。
そのあたりで、一時は開票速報にチャネルを戻してみたが、ボクシングの試合と比較すると、ハラハラドキドキ感がまったく欠けていて、見るのが途中でイヤになった。あとは次の日の朝刊で見ることにして途中で寝てしまった。
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source : 文藝春秋 2017年12月号