こども家庭庁が本年4月に発足するが、これで少子化が食い止められるのであろうか。
こども家庭庁は、内閣府の外局として設置される。法的な位置付けは金融庁や消費者庁などと同じだが、2021年、12府省や復興庁と同じく内閣に直接置かれるかたちで発足したデジタル庁の格には及ばない。
内閣府特命担当大臣は、各省庁などに子ども政策の改善を求める「勧告権」を持つ。内閣府の子ども・子育て本部や厚生労働省の子ども家庭局などが移管され、300人規模の職員が配属される。政府は「縦割りを排した行政を進めるための司令塔」と位置付けるが、現状と比べて権限がさらに強化されるわけではない。
組織と実質の両面に問題がある。
まず、機能としての問題は、幼保一元化が見送られたことだ。厚生労働省の保育などの所掌事務はこども家庭庁に移管されるが、文部科学省の幼稚園の業務は移管されない。幼保一元化は、1990年代以降さんざん議論したものの実現できず、06年の制度改正により、新しく内閣府所管の「認定こども園」を創設することで決着。「一元化」というより、「三元化」だった。幼稚園と保育園の業界は、それぞれ自民党の応援団になっており、党内対立をはらむ一元化の議論は、今回も早々に見送られた。政府が本気度を示すなら、庁ではなく、省にすべきだった。
つぎに、実質的な問題は、これまでのレジームを変革できるかにある。少子化対策や子どもへの施策は、育児・介護休業法(91年)にはじまり、最近では第2次安倍政権での保育・教育の無償化にいたるまで、法律やプランの名称を数えあげればきりがないほど、さまざまな施策が講じられてきた。
しかし、出生率は、6年連続で低下して21年には1.30となり、過去最低の1.26(05年)に近づいた。待機児童は、コロナ禍の影響などから減ったものの、潜在的になお多く、希望する幼稚園に入れないなどの「隠れ待機児童」は約6.4万人に上るとの試算もある。
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source : 文藝春秋 2023年2月号