韓国・日本でベストセラーとなった共著『反日種族主義』の刊行や配信を通じて私たちは、虚飾に満ちた自国の歴史観を、客観的史実に基づいて批判的に検証してきました。
「種族主義」とは一体何でしょうか。近代化された人間、自由で独立した個人が国家に統合される時、現れる集団的・政治的性向が「民族主義」です。ところが、韓国の近代化の歴史はそれほど長くありません。戦後、1948年に建国した韓国人の正体は、曖昧極まりないものです。そのため、自由で独立した個人の発展は低いレベルにあります。結果として、韓国の民族主義は伝統的な「種族主義」としての特質を強く帯びています。
「種族主義」は、歴史的に対立してきた周辺の国家に対する敵対感情に基づきます。感情に基づく限り、客観的で科学的な歴史認識が成立するのは困難です。今日の韓国人の対日感情は、このような種族主義的歴史認識に大きく制約されています。
種族主義的歴史認識の最たるものが従軍慰安婦に関するものでしょう。1937年から始まった日本軍慰安婦制度は、それ以前の1916年から朝鮮総督府が施行してきた公娼制の延長線上で理解されなければなりません。制度として公娼制が戦時期に軍部隊に入ってきたのが慰安所制度といえます。公娼に従事した娼妓や酌婦と同様、慰安所に入った女性はほとんど極貧階層の出身でした。彼女らの両親や親権者が募集業者から一定金額の前金を受け取り、慰安所への就職を承認した結果として、慰安婦になりました。それについて、韓国の歴史学者や慰安婦活動家は総督府の官憲が少女たちを拉致したと主張しています。彼らは歴史の実態を知らず、種族主義的敵対感情からそのような虚偽の主張をしています。
徴用工問題も同様です。日本によって徴用工として強制動員され、奴隷的に酷使されたと主張して裁判を提起した人たちがいます。両国間の関係を悪化させた大法院(最高裁判所)の判決を見ますと、彼らは徴用された人たちではなく、会社によって募集された人たちです。自発的に自分の選択で会社の募集に応じて高い競争率を勝ち抜き、就職に成功した人々です。彼らが戦争末期の混乱期に完全に清算されなかった会社内の貯蓄とか、未払い給与を根拠に、奴隷的に搾取されたと主張するのもやはり、一つの種族主義的敵対感情から出てくるような虚偽の主張です。彼らの誤った主張が国民的認識に広がったのは、やはり韓国人の強い反日種族主義的集団情緒が作用したためだと言えます。
歴史問題は賢く避けよ
しかし、希望もあります。前近代的な敵対的集団感情としての種族主義は、徐々に克服されています。いまや、私たちの研究活動を通じて慰安婦と徴用工の真実は多くの韓国人の知るところとなりました。あらゆる情報に触れられるネット社会で、以前のような宣伝扇動はもはや通じなくなったと言えます。
ただし、だからといって急な変化は期待しにくいです。本来なら、尹錫悦政権が「日本との過去の歴史をめぐる争いはこれ以上ない。すでに清算されている。不十分な点があれば、両国の歴史学者らが討論することだ」と、宣言してくれることを願っています。しかし、社会が突然変化することを期待するのは難しい。なぜなら、誰も統制できない韓国人の反日種族主義的集団情緒が政治的に誤って扇動され、利用される可能性は依然としてあるからです。尹政権が「日本との歴史認識を巡る争いを清算する」と政治的に宣言すれば、反対勢力からの大きな攻撃に直面するでしょう。次の選挙で負ける恐れがあります。
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