新選組ゆかりの旧前川邸

奈良岡 聰智 京都大学教授
ライフ 政治 歴史

 今夏の祇園祭は、4年ぶりにコロナ禍以前の本来の姿で開催された。これ自体が大きなニュースであるが、実は今夏の京都では、幕末史ファンにとってこれをさらに上回る大ニュースがあった。新選組結成160周年を記念して、これまで非公開だった新選組ゆかりの壬生(みぶ、京都市中京区)の史跡2ヶ所が初めて一般に公開されたのである(「京の夏の旅」の一環として9月末まで公開)。私も勇躍して宵山の日に壬生を訪れてみた。

 まず、新徳寺の本堂に行ってみた。文久3年に将軍警護の名目で幕府が募集した浪士234名が、京都壬生に到着した夜に集まった場所である。ここで浪士組を率いていた清河八郎が尊王攘夷を目指すべきだとの大演説をぶち、清河と袂を分かって壬生に残留した近藤勇、芹沢鴨らが新選組を結成することになった顛末はよく知られている。この演説の場面は映画やテレビドラマでもよく描かれてきたが、現地に行ってみると意外に狭くて驚いた。記録がないので234名が全員本堂でこの演説を聞いたのかは分からないが、詰めれば全員入ることは可能だそうである。建物は当時のままで、内部に残る燭台も当時のものと言われている。近藤らがここで京都残留を決断していなかったら、歴史はどう変わっただろうか。様々な思いが心に浮かんだ。

有料会員になると、この記事の続きをお読みいただけます。

記事もオンライン番組もすべて見放題
新規登録は「月あたり450円」から

  • 1カ月プラン

    新規登録は50%オフ

    初月は1,200

    600円 / 月(税込)

    ※2カ月目以降は通常価格1,200円(税込)で自動更新となります。

  • オススメ

    1年プラン

    新規登録は50%オフ

    900円 / 月

    450円 / 月(税込)

    初回特別価格5,400円 / 年(税込)

    ※1年分一括のお支払いとなります。2年目以降は通常価格10,800円(税込)で自動更新となります。

    特典付き
  • 雑誌セットプラン

    申込み月の発売号から
    12冊を宅配

    1,000円 / 月(税込)

    12,000円 / 年(税込)

    ※1年分一括のお支払いとなります
    雑誌配送に関する注意事項

    特典付き 雑誌『文藝春秋』の書影

有料会員になると…

日本を代表する各界の著名人がホンネを語る
創刊100年の雑誌「文藝春秋」の全記事、全オンライン番組が見放題!

  • 最新記事が発売前に読める
  • 毎月10本配信のオンライン番組が視聴可能
  • 編集長による記事解説ニュースレターを配信
  • 過去10年6,000本以上の記事アーカイブが読み放題
  • 電子版オリジナル記事が読める
有料会員についてもっと詳しく見る

source : 文藝春秋 2023年10月号

genre : ライフ 政治 歴史