偉大な業績を残し、世を去った5名の人生を振り返る追悼コラム
★山田太一
脚本家で作家の山田太一(やまだたいち、本名・石坂)は、普通の家族や若者たちを主役にして人間の深い交わりを描いた。
1977(昭和52)年のテレビドラマ『岸辺のアルバム』では、主婦の不倫や娘の中絶など、それまでのホームドラマではタブーとされた要素を大胆に盛り込んで、視聴者に大きな衝撃を与えた。「家族を扱っても、明るく和やかな路線ではマンネリだと思っていました」。
34年、東京の浅草に生まれる。実家は国際劇場の近くにある中華そば屋で、周囲に芸能や見世物が溢れていた。小学3年生のとき父が一家を連れて湯河原に疎開し、翌年に母親が亡くなって環境がガラリと変わったという。
戦後、早稲田大学教育学部に在学中は僻地の教師になりたいと思ったが、試験の日時を間違えて不採用となった。しかたなく、試験が終わっていなかった松竹を受けて大船撮影所に入り、木下惠介監督の助監督となる。やがて木下は山田にシナリオを口述筆記させるようになり、ドラマ作りの勘所を学んだといわれる。
72年のテレビドラマ『藍より青く』や翌年の『それぞれの秋』などで新進シナリオ作家として注目された。76年からの『男たちの旅路』では、ガードマン会社の管理職を鶴田浩二が演じ、第4部まで続いて、82年に「スペシャル」を放送している。
77年には『岸辺のアルバム』によって日本を代表するシナリオ作家と評価され、さらに83年からの『ふぞろいの林檎たち』では、四流大学の学生たちを描き若者たちの圧倒的な支持を獲得した。同シリーズは97(平成9)年のパートⅣまで続く。
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