斎藤工さんとの偶然の出会い
——その他の声優さんもとても豪華でな顔ぶれがそろっています。
粉川 国王を演じられた別所哲也さんは、私が別所さんのラジオに出演したのをきっかけに、予算がないなかダメ元でお願いしたら「金額じゃないから」と快く出演してくださりました。ルスランの相棒レスター役の岡本信彦さんは、知人のつながりでクラウドファンディングのときから「製作が実現できたら出てほしい」と話していたのが実現したという経緯ですね。ご縁でどうにかなったところも大きいように思います。
これもある種の縁だと思うんですが、予告編のナレーションを担当してくださった斎藤工さんは、たまたま街ですれ違って、追いかけて声をかけたことがきっかけなんですよ。
——これ以上ないほどの直談判ですね。
粉川 しかもそのとき名刺を持っていなかったので、テンパって「LINE交換でもいいですか?」なんて言ってしまって、怪しさ全開だったと思います。もちろんLINEは交換していませんが、斎藤さんはその後、クラウドファンディングに支援してくださったり、公開後には「おめでとうございます」と連絡くださったり。個人的に飲み会のたびに「斎藤さんはいい人だ」って広めています!
契約書に自身の言葉は「は」「が」しか残っていない
——未経験でも個人で映画の買い付け・配給ができるということにとても驚きました。
粉川 KADOKAWAさんや朝日新聞社さんをはじめとした委員会の方々に助けられてやっと、という感じですね。たとえば契約書なんて、最初に私の書いた文字は最終的に「は」や「が」といった助詞くらいしか残っていないです。
わからないことは素直にわからないと伝えて、いろんな方々に助けてもらおう精神で、実際に周りの方に支えていただいたので、本当に感謝しかありません。
ただ、いま考えると「ああすればよかった」と思うことも多くて悔しいですね。というのも、アイドルのマネジメントやコンサルティング関連の資料作成など、“食べるため”の他の仕事をしながら配給・宣伝に取り組まざるをえなかったんです。私の時間すべてを『ストールンプリンセス』に注げなかったというのは後悔の一つですね。