このことで私が思い浮かべたのが、ドイツにおけるスポーツの取り組みだ。

 ドイツでは、子どもたちは学校の授業とは別に、学校外で「シュポルトフェライン(スポーツ協会)」と呼ばれる地域のスポーツクラブに所属してスポーツをすることが多いという。ここは多世代が集まる地域のコミュニティーにもなっている。

 シュポルトフェラインが日本の習い事と違うのは、そこでは一つの競技だけでなく、たくさんの競技を好きに体験できることだ。メジャースポーツからマイナースポーツまで、同世代の仲間たちと楽しめる。放課後や休日にここへ行けば、子どもは一通りの種目をやってみることで、総合的に身体能力を伸ばしたり、何の競技に適性があるのかを見つけたりすることができるのである。

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どうすればスポーツ嫌いを克服できる?

 現在の日本の体育の授業では、スポーツが得意な子と苦手な子を分けて、得意な子が1点とれば1点、そこそこの子が1点取れば2点、苦手な子が1点とれば3点として「公平性」を保っていることもある。これではスポーツへの劣等感を克服するのは難しい。

 今の日本の子どもたちを取り巻く環境を考えれば、ドイツのシュポルトフェラインのようなものを導入し、スポーツを通して自尊感情の向上を促すのも選択肢の一つではないだろうか。