ホームの上の橋上駅舎を出ると、「うみねこロード」と名付けられた自由通路へ。改札を抜けて右手に進むと在来線のJR八戸線や元東北本線の第三セクター、青い森鉄道線の改札口が控える。
さらにその先には駅直結のホテルメッツの入口があったり、隣接する複合ビル「八戸地域地場産業振興センター」ユートリーへの連絡通路もあったり。
そのまま東口に出ると、立派な駅前広場が待っている。傍らにバス乗り場があって、すぐ近くには東横インにコンフォートホテル。駅ビルにはちゃんとドトールコーヒーも入っているし、八戸の名物が食べられるような飲食店もいくつか軒を連ねる。
さらに駅前の目抜き通りにはクルマが途切れずに行き交い、商店も並ぶ。すぐ脇にはスナックや居酒屋がいくつか集まっている一角もあって……と、こうして見ると実に新幹線のターミナルらしい駅前風景だ。
これで本当に東北新幹線を代表する駅なのか…?
だがしかし、である。少し冷静になって見てみると、これで本当に東北新幹線を代表する駅といっていいのかどうか、という疑問も湧いてくる。
ホテルや飲食店があるような商業ゾーンは駅前のごく狭い範囲に限定されていて、少し歩くとのどかな住宅地、そのさらに先はもう田園地帯へと続いてゆく。
そうした点も踏まえると、八戸駅はいささか寂しすぎやしないかと思うのである。八戸駅は、新幹線のターミナルであると同時に人口約21万人、青森県第二の都市・八戸市の玄関口だ。それなのに、なぜ……。
実は……などとここでもったいぶるほどのことはなかろう。八戸駅は、名が体を現していないというか、ただ単に八戸の中心市街地から離れた場所にあるというだけのことである。
これだけならばさほど珍しい話ではない。駅と中心市街地が離れた場所にある例は少なくない。東北新幹線であっても、仙台や宇都宮だって市街地から離れたところに設けられている。
ただ、八戸の場合は中心市街地と八戸駅を隔てる距離は約5km。クルマなら20分ほど、歩いたらゆうに1時間は超えるという、それくらい遠く離れた関係にあるのだ。