「決着の時」

第5回

エンタメ スポーツ
 

『8月の終わりくらいからチームとして状態が落ちてきていたのは確かです。でも、あの2試合ですべてが決まるということもみんな分かっていて、どうしたらいいんだろうとはずっと考えていました。僕も含めて、あのチームはみんな何かあれば、常に(田中)賢介さんに相談していたので、あの時も僕が賢介さんのところへ行ったんです。そうしたら、普通のミーティングをするだけではだめだと思うと。それから賢介さんと僕で話し合って、個人としてチームのために何ができるのか、全員が話す場にしようということになったんです。

 シーズン中のミーティングって、だいたい選手会長だったり、キャプテンだったり、主力の選手が「疲れているだろうけど、最後、力振り絞っていこう」とか「今日のゲームが大事だから気を引き締めていこう」とか精神論を喋って終わりということがほとんどなので、一人一人が勝つために何をすべきか話していく形は僕も初めてでした。

 当時はまだ(中田)翔もいましたし、(西川)遥輝や近藤(健介)もいたし、(大谷)翔平よりも年齢が上の人ばかりだったので、あのチームにおいての翔平はどちらかというと、言葉で何か伝えるというよりもプレーで引っ張っていくタイプでした。ただ、あのミーティングの時はチームが勝つために自分が何をしなければならないのか、きちんと言葉にしていた。まだ21、2歳くらいだったと思いますけど、自分のことも、チームのこともちゃんと理解していました』

(大野奨太)

 

 9月21日の午後3時過ぎ、福岡ドームのビジターベンチ裏では北海道日本ハムファイターズの選手たちが顔を揃えていた。投手も打者も、レギュラーもベンチメンバーも、全員がロッカールームを出てすぐの食堂兼サロンに集まっていた。ただし、監督やコーチやスタッフはいない。その場にいるのは文字通り、グラウンドに立って戦う男たちだけであった。

「今日、集まってもらったのは――」

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source : 文藝春秋 2025年7月号

genre : エンタメ スポーツ