言葉の喪失と再生

第11回

上野 千鶴子 社会学者・東京大学名誉教授

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各界で活躍する“達人”たちが、人生を変えた「座右の書」を紹介する連載。達人たちはどのような本を読み、どのような影響を受けてきたのか、その半生とともに振り返る――。第11回は、女性学、ジェンダー研究の分野のパイオニアで、指導的な理論家の一人であり、高齢者の介護とケアも研究テーマとしている上野千鶴子さんが登場。

(取材・構成 稲泉連)

 

■連載「達人の虎の巻~人生を変えた『座右の書』~」
第1回 谷内正太郎 「100点よりも51点の答案を」安倍外交の中心人物が読書で培った姿勢とは
第2回 大村智 ノーベル賞受賞者は、なぜ北里柴三郎にほれ込んだか
第3回 栗山英樹 僕は中国古典を読んで大谷翔平の「二刀流」を信じた
第4回 山根基世 「普遍的なものを言い当てていた」元NHKアナウンサーが仕事の支えにした一冊
第5回 柳田邦男 「暗唱できるほど心揺さぶられた」ノンフィクションの先駆者が感銘を受けた作品
第6回 大﨑洋 市場の貸本屋から始まった「本に囲まれた生活」
第7回 加藤登紀子 本で出会った「いい男」たち
第8回 齋藤健 「論理より空気で動く日本型組織」と「理想の政治家像」
第9回 坂東眞理子 男女共同参画と日本の女性史
第10回 鈴木敏夫 “世界のジブリ”を作った本たち
第11回 今回はこちら

上野千鶴子氏 ©文藝春秋

上野千鶴子(うえの・ちづこ)

1948年、富山県生まれ。社会学者・東京大学名誉教授。京都大学大学院社会学博士課程修了。1993年、東京大学文学部助教授(社会学)、1995年から2011年3月まで、東京大学大学院人文社会系研究科教授。1994年、『近代家族の成立と終焉』(岩波書店)でサントリー学芸賞受賞。2011年度、「朝日賞」受賞。受賞理由「女性学・フェミニズムとケア問題の研究と実践」。著書に『家父長制と資本制』『ナショナリズムとジェンダー 新版』『生き延びるための思想 新版』『おひとりさまの老後』『女たちのサバイバル作戦』『情報生産者になる』『上野千鶴子のサバイバル語録』など多数。

 読書についての最初の記憶――そう聞かれて思い浮かぶのは私の場合、教会の「日曜学校」の風景ね。両親がクリスチャンだったから、幼稚園や小学校の頃は日曜になると教会に通い、お祈りをして「アーメン」と唱えていたの。教会には子供向けの本がたくさん置いてあったので、それを片っ端から読んだものだったな、って。

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