佐藤卓己「池崎忠孝の明暗 教養主義者の大衆政治」

文藝春秋BOOK倶楽部

片山 杜秀 評論家
エンタメ 読書 歴史

反米主義者となった漱石門下

 文芸批評家、赤木桁平。東京帝国大学の独法科の学生時代に漱石門下となり、漱石没後1年の1917年にその最初の評伝を著し、典型的な漱石像の形成に大なる貢献をした。軍事評論家、池崎忠孝。『米国怖るゝに足らず』(1929年)に始まり『六割海軍戦ひ得るか』、『宿命の日米戦争』、『日米戦はゞ』等に連なる著作は広く読まれ、太平洋戦争に向かう世論に大きく響いた。

 はて、そんな2人の関係は? 何と同一人物だ。1891年生まれ。岡山県出身。元の名は赤木忠孝。旧制六高時代に大阪の池崎家の養子に。桁平は鈴木三重吉のつけた筆名だ。

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source : 文藝春秋 2023年11月号

genre : エンタメ 読書 歴史