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“下り坂の日本”への警鐘
12月号、憂国グループ2040の『緊急提言 日本の危機の本質』を読んで、後期高齢者(86歳)の私は身の置きどころがない。ひもじい思いをした戦後、沸き立った東京オリンピック、酔いしれた右肩上がりの経済成長は、兵どもの夢だったというのか。ジリ貧の日本の現状は、舵取りを誤ったわれわれ世代の責任だというのか。
政治家は大票田を持つ高齢者に阿(おもね)っている。しかし高齢者を利する政策は、若い世代の重荷となる。年金制度、医療保険制度、介護保険制度は、人口構成が逆ピラミッドでは、その破綻は目に見えている。この構造が、わが国の債務残高をGDP比260%にまで押し上げている。
高齢者は疾うに終わった大国の夢から目覚め、激変する社会にたじろがず、厳しい時代の到来を覚悟すべきだ。高齢者は躰を鍛え、医療費、介護費を1円でも削減し、若い世代の重荷の軽減に努めよう。若い世代は、諸君が主役の強靭な国家を創るため、叡知を結集して欲しい。政治家は“パンとサーカス”で当面を糊塗することなく、人口減少時代の国家論を練り上げて欲しい。
かつて「日本の自殺」という論文が本誌を飾ったことがある。佐伯啓思京大名誉教授はこれを読み直し、2023年の本誌(1月号)で下り坂の思想の重要性を説いている。12月号の『日本の危機の本質』は、“下り坂の日本”への強い警鐘である。
(東京都 泉信也)
東條英機の官僚的指導
12月号『大座談会 昭和陸軍に見る日本型エリート』では、最初に東條英機が取り上げられている。これを読むと、東條は陸相、首相、参謀総長と栄達したものの、その本質は極めて真面目で優秀な官僚だったことが分かる。その反面、同時代の指導者達(ヒトラー、スターリン、チャーチル、ルーズベルト等)と比べると、カリスマ性、政治力、軍事的才能などの面で際立った特色は見出せない。
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source : 文藝春秋 2024年1月号