「セブン&アイ買収提案」食料安全保障の観点から
セブン&アイ・ホールディングス(セブン&アイ)がカナダの流通大手アリマンタシォン・クシュタール(ACT)から受けた7兆円規模の買収提案は、当事者のセブン&アイのみならず我が国の経済界、ひいては日本社会に強い衝撃を与えた。
現状では、創業家側による対抗策として株式非公開化を目指した買収提案も受けており、セブン&アイは、ACTからの提案、創業家からの提案、自社単独での成長策を含めて、「潜在的な株主価値の実現のための全ての選択肢を客観的に検討」するとのコメントを発表している。
上記のコメントの通り、今回の提案を受けたセブン&アイの取締役会は、公正な視点の下、十分な議論を尽くしたうえで、買収受け入れの当否を判断することが求められる。
判断にあたっては、加盟店オーナーや従業員など事業の屋台骨を実際に支える多様なステークホルダーや我が国の地域社会への中長期的な影響なども考慮されるべきであり、株主や資金の出し手のみに目を向けた、目先の利益のみを考慮するような短期的な視点で早期に結論を出すのは望ましくない。
本稿では、敵対的な買収行為に対する海外での対応事例や食料安全保障の観点など、多様な論点を引き合いに出しながら、本買収が我が国に与える影響や問題点を提起する。セブン&アイの取締役会には、ぜひ本稿が取り上げた問題点も俎上に載せたうえで、買収受け入れの当否を判断してほしい。
フランス政府は「ノン!」
まずは、過去ACTが行った敵対的買収行為に対する、欧米諸国などの外国政府・企業の対応事例を取り上げる。
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source : 文藝春秋 2025年4月号