「それは仕事ですか、作業ですか」と若手に聞かれたら

編集長ニュースレター Vol.9

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日本の顔・佐藤雅彦」、「禁断の『継体天皇』対談」、「データでわかる転倒・骨折予防術」。今月号のこの脈絡のない3本を担当したのが、本誌3年目のN君です。本誌編集部では、インタビューや対談を記事の形に仕上げることを「まとめ」と呼びます。デスク自らまとめることもありますが、多くは若手の編集部員が担っています。

 私自身、このまとめが苦手でした。「週刊文春」で記者として取材し原稿を書くのは好きでしたが、15年前、本誌に異動してきて、面食らったのが、この「まとめ」。とにかく書いても書いても終わらない。週刊誌の原稿と違い、本誌は最低8ページ、原稿用紙20枚ほどと長いのです。そのため、面白いファクトだけ詰め込んでいくと、文字数が届かない。何とか、枚数に届いて、デスクに提出すると跡形もなく直される。これは誰しもが通る道です。某大物作家からご指名が入るほど、まとめの上手さには定評のあるMデスクも、最初に本誌に配属された時、毎回、デスク(現・社長)に真っ赤に直され「●してやろうか」と心の声が溢れそうになったとか。

 さて、今回、N君がまとめた3本の記事を読んで、ずいぶんうまくなったなと感じました。特に「データでわかる転倒・骨折予防術」は非常に読みやすく、まとまっており、親に読ませたいと思ったほどです。それぞれの記事を担当したデスクに聞くと、大きく直してはいないそうです。

 若手にとって苦行のこの「まとめ」。AIを使えば、すぐにできるようになるのかもしれません。しかし、私自身は、ある程度できるようになるまで、自分でやった方がいいと思います。そうしないと、デスクになった時に、あがってきた原稿がいいのか、悪いのかの判断ができない。さらに言えば、AIがすべてをやるようになった時にも、指示(プロンプト)が出せないのではないか。AIを使う人間ではなくて、AIに使われる人間になってしまうと思います。

 管理職として部下に仕事をふる際、意識していることは、それは「作業」なのか、「仕事」なのか、ということです。たとえば、コピー取り、資料集め、パワーポイント作りをずっとやらされる。これは作業です。仕事を完成するために作業は必ず必要ですが、ずっと作業ばかりやらされていると成長を感じられず、仕事が嫌になる。それは若手に限らず、誰しもそうだと思います。ただ、ここで難しいのは、ある人にとっては作業でも、別の人にとっては仕事になりえる場合です。資料集め一つとっても、何も知らない若手記者だった時にどう資料を集めるか、どこに行けばそれが見つかるのかを知ることは、作業にとどまらない、記者としての成長につながる仕事になりえます。

 本誌編集部におけるまとめを、作業ととらえるか、仕事ととらえるか。AIが奪うものに「若手の育成機会」があると言われています。私としては、このまとめは育成につながる「仕事」ととらえているのです。

 本誌では、毎号校了すると編集部で軽い打ち上げをするのですが、その場で「どうやったら原稿がうまくなるのか」という話になりました。Mデスクの答えは「ある日、突然うまくなる」。書いて書いて書いているうちに、ある日、うまくなる。「デスクより俺の方がうまいんじゃないか」と思う瞬間もあったそうです。

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