戦国時代の職人集団「穴太衆」末裔が滋賀県に…400年以上に亘って伝承されてきた「秘伝」の業を学んだ

vol.83

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ライフ 歴史

「穴太衆(あのうしゅう)の末裔が滋賀県にいるんです!」

 城巡りを趣味とする編集部のO君に言われて、思わず「マジか!?」と聞き返していました。

「穴太衆」といえば、戦国時代に城の石垣造りで大活躍した職人集団。鉄砲造りを担った「雑賀衆」や「根来衆」などと同様、その名前を聞くと、自分たちの腕を頼りに世を渡っていった人々が浮かんできて、何だかわくわくします(わくわくした方は、戦国時代末期、石垣を造る「穴太衆」と大砲を作る「国友衆」の戦いを描いた、今村翔吾さんの『塞王の楯』をぜひお読みください)。宮崎駿監督の『もののけ姫』に出てくる「たたら場」に集っていた人々も思い出したのですが、こちらは製鉄集団でしたね。話を元に戻しましょう。

 O君曰く、その末裔が建設会社を営んでいて、今も現役で石垣造りに携わっている……。と聞けば、取材に行かないわけにはいきません。

 早速、O君と滋賀県大津市に向かい、「穴太衆」の石垣造りの技術を守り続けてきた粟田建設社長の粟田純徳さんに話を訊くことになりました(インタビューの内容は、本誌2025年1月号及び電子版掲載の「熊本城の石垣はなぜ崩れたか」をお読みください)。

 京都駅でJR湖西線に乗り換え、15分ほどで粟田建設の最寄駅、比叡山坂本に到着します。石垣好きのあまり、高ぶる気持ちを抑えられず前日入りしていた、朝に弱いO君と駅で合流しました。駅を降りて、粟田建設に向かう道を歩き始めると、坂道のずっと先にある比叡山延暦寺から山裾に街が広がっているのを体感します。まさに延暦寺のお膝元。会社までの道のりには、由緒正しい門跡寺院や引退したお坊さんが代々住んでいたという「里坊」と呼ばれる住まいが点在しています。もちろん石垣も! 至るところに個性的な形をしたデカい石を積んだ豪壮な石垣があり、圧倒されます(写真をご覧ください)。

大津市坂本の滋賀院門跡の石垣 ©文藝春秋

 駅から10分ほど歩いたところにある会社で、粟田社長へのインタビューが始まりました。

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source : 文藝春秋 電子版オリジナル

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