2024年に「文藝春秋 電子版」に掲載された記事の中から、編集部員がとくに心を掴まれた「イチ押しの言葉」を紹介します。
小泉今日子「くだらないから。」
(2024年2月号、「有働由美子のマイフェアパーソン」第61回)
有働さんから「なぜバラエティ番組に出たくないのか?」と尋ねられた小泉さんの回答。この一言が拡散して、SNSでも話題になり、小泉さんがどう感じているのか気になっていました。その後、自身のラジオ番組で「原稿を(前もって)チェックしてるわけです。言葉が強かったかなと思ったけど、あえて直しませんでした。言ったしなあと思って。男らしくないなって」(スポニチアネックス、2024年1月28日配信)と語っていたという記事を発見。言葉で仕事をする者の覚悟に、改めて惚れました。(編集部・三阪)
國村隼「どこまでもすごい役者です」
(2024年12月号、「韓国映画 個性派俳優の至芸を楽しむ〈あなたに見てほしい映画〉」)
韓国映画「哭声」(コクソン)で謎の日本人を演じ、青龍映画賞を受賞した國村さん。同作で共演したファン・ジョンミンの俳優としての魅力に惹かれているそうです。ユン大統領の戒厳令で再度注目を集めた「ソウルの春」で全斗煥を演じる一方で、純朴な青年や、妻の尻に敷かれる専業主夫役など、一作ごとに違う姿を見せるファン・ジョンミンの凄さを語ってくださいました。インタビューでは、強い眼力を放ちつつも柔らかい関西弁をまじえて、韓国映画の撮影現場の裏話などもたくさんお伺いしました。ページ数の制限上泣く泣くカットした面白エピソードも……。(編集部・山下奈緒子)
御厨貴「いつの時代も日常に負ける」
(2024年10月号、御厨貴×東浩紀「自民党よ、驕るなかれ」)
2024年の総裁選を前に、批評家・東浩紀氏が震災の被害も学んだ教訓を日本人はすぐ忘れる、といったことに対しての一言。過去も未来も見ずに今ばかりを注力する日本は、政界再編においても同じことが繰り返され、結局のところ何も変わらない。私自身も「日々に追われるから」と弁明してはいけない、そう感じた痛烈な対談でした。(編集部・倉林)
source : 文藝春秋 電子版オリジナル