1ページ目から読む
3/4ページ目

「こちら側の過剰反応として見られてしまいました」

 菜摘さんの証言によると、「報告書」にあるような適切な対応はしていない。先生が来たとき、「どっちが悪かったんや?」と聞いてきた。他の児童は「Aが悪かった。菜摘は悪くない」と言った。でもAが「菜摘がうんこって言ってきたからや」と言ったため、先生は「どっちも悪かったんやからお互いごめんなさいしよう」って菜摘さんにも謝らせた。不十分な事実確認によって、不適切対応となった。

 その後、10月29日、いじめアンケートを実施。翌30日、Aなど他の児童からも聞き取りを行なって、事実確認をした。31日、教頭が菜摘さんの保護者宅を訪問。聞き取りの結果を報告した。その際、菜摘さんの保護者が「当分の間、Aを別室登校にしてほしい」と要望した。話し合いの結果、11月5日からAは、別室登校となった。

菜摘さんの父親 ©渋井哲也

「別室登校は、始まった途端、校長や教頭から『いつ解除しますか?』と言ってきたんです。しかし、こちらとしては、児童相談所などでのカウンセリングや、学校での道徳的な指導など、適切に指導をしてもらいたかったんです。一つでもアクションがあれば、普通教室に戻すことも考えました。しかし、十分に対応はされませんでした。そのため、他の保護者たちには、十分に説明する文書を配ってほしいと提案しました。しかし、文書の内容は、“安心安全な学校へ”という曖昧な内容でした。そのため、他の保護者からは、こちら側の過剰反応として見られてしまいました」

ADVERTISEMENT

「僕たちが虐待している疑いを抱かせる内容の文書を……」

 最終的にはAは転校することになった。菜摘さんへのいじめはなくなった。

「話し合いの場がありましたが、Aへのケアなどの対応を嫌がったのか、強引に解決を図ろうとしたAの保護者が、突然、転校の宣言をしたのです」

©iStock.com

 しかし、Aへの対応をめぐって、菜摘さんの保護者は不信感を募らせている。

「こちらとしては、警察に被害届を出そうと思っていたんですよ。Aのことを児童相談所で対応してもらいたかったので。なぜなら、Aには何かしらの支援が必要ではないかと思ったからです。しかし、学校や警察では説得され、被害届を出させてくれませんでした。非行少年の情報は学校が握っています。警察と情報を共有する『学校警察連絡協議会』や『要保護児童対策地域協議会』があります。しかし、この枠組みでは、校長の裁量の部分が大きく、もみ消されることもあります。一方で、学校側は事実に反し、娘に食事を与えていないかのような、僕たちが虐待している疑いを抱かせる内容の文書を作成しています」