偉大な業績を残し、世を去った5名の人生を振り返る追悼コラム
★坂本龍一

作曲家の坂本龍一(さかもとりゅういち)は現代音楽に転換をもたらし、その活動は日本のミュージシャンのイメージを大きく変えた。
1987(昭和62)年公開のベルナルド・ベルトルッチ監督『ラストエンペラー』の音楽を担当する。「ベルトルッチは毎日のように新バージョンのビデオを送ってきた」ので、その都度作曲し直し「地獄のような強行軍」だったという。しかし、公開されると9部門でアカデミー賞を受賞し、坂本は日本人で初めて同作曲賞受賞者となった。
52年、東京に生まれる。父は「伝説の編集者」坂本一亀で、しばしば自宅に若い作家たちを連れてきた。「酔ったときなど、父は作家を怒鳴りつけているので、とにかく怖かった」という。
母の方針で幼少よりピアノを習い、新宿高校時代にはフリージャズを弾いていた。同校で学園紛争が起こったとき、後に厚生労働大臣となる塩崎恭久などと校長室を占拠しバリケード封鎖したという。
東京芸術大学に現役で合格する。在学中は現代音楽を研究するが、民族音楽にも興味をもち、スタジオ・ミュージシャンとして活動し始めていた。78年に細野晴臣、高橋幸宏とイエロー・マジック・オーケストラ(YMO)を結成して、日本のテクノポップの開拓者となる。
83年の大島渚監督『戦場のメリークリスマス』で音楽を担当するとともに、ヨノイ大尉の役で出演して、デヴィッド・ボウイとの「ラブシーン」で衝撃を与える。87年の『ラストエンペラー』でも他の2人と音楽を担当する一方、元陸軍将校で満洲の陰の実力者・甘粕正彦の役で、溥儀役のジョン・ローンと共演した。今後も俳優をやるのか聞かれて、「もう軍人の役はご免だ」と答えている。
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source : 文藝春秋 2023年6月号