三島由紀夫が東京・市谷の陸上自衛隊駐屯地で割腹自殺を遂げてから、11月25日で53年になる。文藝春秋では、この巨大な小説家の軌跡はもちろん、三島から想を得た小説など、後世への影響を探求する記事を掲載してきた。その一部を紹介する。
三島由紀夫の「滑稽な肉体信仰」
石原慎太郎(作家)
晩年にボディビルや「楯の会」の活動に傾斜していった三島。そうした三島の活動を、作家として親交の深かった石原慎太郎氏は「ナルシズムでしかなかった」と批判的に回想する。
三島由紀夫の心配ごと
横尾忠則
3冊目の小説『原郷の森』を発表した横尾忠則氏。作中で“案内人”のように描かれ、谷崎潤一郎、永井荷風、ピカソなどの人物を登場させる三島は、横尾氏にとっては「良き教育者」であったという。
三島由紀夫という存在
川本直(小説家・文芸評論家)
デビュー小説『ジュリアン・バトラーの真実の生涯』で、結末近くに三島を登場させた川本直氏。その創作への影響と、ゴア・ヴィダルをはじめとした海外の作家とのリンクについて語られる。
「豊饒の海」とミドルエイジクライシス
平野啓一郎(作家)
デビュー当時は「三島由紀夫の再来」とも呼ばれた小説家・平野啓一郎氏。文学との出会いは『金閣寺』にあったと語る平野氏が、三島と東大全共闘との討論会や、三島の天皇観について考察していく。
文藝春秋BOOK倶楽部
平野啓一郎「三島由紀夫論」
角幡唯介(ノンフィクション作家・探検家)
今年4月に上梓された、平野啓一郎氏による600ページ超の大著『三島由紀夫論』。「こんな科学的な態度で文学を語れるのか」と角幡唯介氏を感嘆させた平野氏の“読解”とは。
初公開 三島由紀夫「未完の遺作」
織田紘二(元国立劇場理事・日本芸術文化振興会顧問)
三島由紀夫が最晩年に手掛けた文楽版『椿説弓張月』。この知られざる「未完の遺作」に随伴した織田紘二氏が、その創作過程や自決直前の三島の姿を振り返る。
三島由紀夫 自決の翌朝気がついた
徳岡孝夫
自決の直前に三島から“遺書”を託された、元毎日新聞記者の徳岡孝夫氏。自決の次の日に気が付いた、小説としての絶筆「天人五衰」の背後にあった思想とは。
source : 文藝春秋 電子版オリジナル